ノダ文
林淳子(2023.3)「江戸語のノ有り疑問文:多様な形式の使用実態」『日本語と日本語教育』51. 要点 近世の疑問文全体に対する、準体助詞ノの参画のあり方を記述したい。 CHJ江戸時代編・会話文のうち、文末に近い箇所にノが現れる例を対象とする。 洒落本の…
鶴橋俊宏(2018.11)「滑稽本におけるノダとその周辺」『国学院雑誌』119(11). 要点 滑稽本を化政・天保期の共時態として、ノダ周辺形式について調査する。 ノダの用法は以下のように(便宜的に)設定でき、現代語のノダと同様であったと言える。 平叙文 条…
幸松英恵(2020.3)「事情を表わさないノダはどこから来たのか:近世後期資料に見るノダ系表現の様相」『東京外国語大学国際日本学研究』プレ創刊号. 要点 ノダ文研究の現状の前提として、 ノダ文の典型は〈事情説明〉であり、この機能は〈準体助詞ノ+断定…
金水敏(2012.3)「理由の疑問詞疑問文とスコープ表示について」『近代語研究』16. 要点 必然的に焦点とみなされる「なぜ」の疑問詞疑問文を用いて、ノダ文の形成史を考える。 以下の、久野・田窪の一般化を踏まえる。 否定辞「ない」と疑問詞「か」のスコー…
野村剛史(2015.5)「通時態から共時態へ:その2」『国語国文』84(5). 要点 野村(2013)で主張した「共時態の記述に際する通時的研究の重要性(不可欠性)」について、アスペクト・テンス、ノダ文を事例として扱う(前半は前の記事で)。 「事情文」(説明…
野村剛史(2013.10)「通時態から共時態へ」『日本語学』32(12). 要点 ソシュールの「共時態の記述に通時態を持ち込んではならない」という立場は、受け入れ難く、共時態記述には通時的研究が不可欠であることを主張する。 以下、ノダ文を例に、共時態と通時…
勝又隆(2021.3)「中古散文における「連体形+ゾ」文の用法:ノダ文・連体ナリ文との共通点と相違点」『筑紫語学論叢Ⅲ』風間書房. 要点 ノダ文と連体ナリ文は比較検討されているが、これまで検討されたことのない連体形ゾも含めて考えると、以下の通り ゾが…
森野崇(1993.5)「奈良時代の終助詞「ぞ」について」『国語国文』62(5). 要点 前稿(森野1992)で述べた、中古の終助詞ゾの特徴が、上代のゾにも当てはまるのかを検証する 中古のゾ:「判断の対象として素材化されたモノ・コトについて、表現主体の断定の判…
山口佳也(2004.3)「「連体形+ぞ」の文について:「源氏物語」の用例をもとに」『十文字国文』10. 要点 前稿(山口2003)で、連体ナリがノダ文同様以下の4類型に分けられ、いずれも「ある事態Xについて、そのことはとりもなおさずYという事態であるという…
山口佳也(2003.3)「「連体なり」の文について:「源氏物語」の用例をもとに」『十文字国文』9. 要点 源氏の連体ナリ文は、著者がノダ文において主張した、以下の4つのタイプに分類可能である p.2 源氏の例、 Ⅰ:例ならず下り立ちありき給ふは、疎かには思…
佐藤順彦(2011.3)「後期上方語におけるノデアロウの発達」『日本語文法』11(1). 要点 江戸語のノダロウについては明らかな点が多いが、上方語についてはそうではない 上方語における事情推量を表す形式の調査結果 前期→後期にかけて、モノジャ>ノジャの…
高山善行(2021.6)「連体「なり」の機能をどう捉えるか:「のだ」との比較を通して」野田尚史・小田勝(編)『日本語の歴史的対照文法』和泉書院. 要点 ノダとの比較に基づき、連体ナリの記述分析を行い、以下の3点を主張する*1 連体ナリの性質はノダとの…
福田嘉一郎(1998.2)「説明の文法的形式の歴史について:連体ナリとノダ」『国語国文』67(2) 要点 連体ナリとノダの関係について、平家と天草平家の対照に基づいて考える 信太1970は、連体形準体法+ナリ→連体形+ノor形式名詞+コピュラへの交替を想定する…
鶴橋俊宏(2013.1)「洒落本におけるノダロウ」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出1998『静岡県立大学短期大学部研究紀要』11(1) 鶴橋俊宏(2013.1)「洒落本におけるデアロウ」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出2011『言語文化研究』10 要点 …
青木博史(2017.11)「「のなら」の成立:条件節における準体助詞」有田節子(編)『日本語条件文の諸相:地理的変異と歴史的変遷』くろしお出版 要点 ノナラについて、以下のことを考える 歴史的経緯 出張するなら/出張するのなら が意味的に同一であるこ…
澤田淳・澤田治(2020.3)「「NPのことだ(から)」の因果的推論の方向性」『日本語文法』20(1) 要点 「NPのことだ(から)」は後続命題を推論する用法を持つ 太郎のこと{だ。/だから、}この時期忙しいだろう。 絵が上手な太郎{だ/??のことだから}これ…
福嶋秩子(2017.5)「準体助詞の分布と変化」大西拓一郎編『空間と時間の中の方言:ことばの変化は方言地図にどう現れるか』朝倉書店 要点 FPJDとGAJの準体助詞の分布と変化を概観し、新潟方言のイガンダベ(行くのだろう)について考える GAJとFPJDの準体助…
平塚雄亮(2019.3)「福岡市方言の準体助詞にみられる言語変化」『中京大学文学会論叢』5 前提 福岡市の若年層によって、伝統的なトだけでなく、ノ・ンも用いられるようになっている が、どのような環境でそうなるかは報告されていない どういった環境で非伝…
野村剛史(2019.10)「ノダ文の通時態と共時態」森雄一・西村義樹・長谷川明香編『認知言語学を拓く』くろしお出版 前提 共時態のノダ文の説明は、言いっぱなしの傾向がある 中心的用法からの派生関係による説明は、何が中心なのか決定できないし、 統一的説…