ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

係り結び

吉田茂晃(2005.11)"結び"の活用形について

吉田茂晃(2005.11)「"結び"の活用形について」『国語と国文学』82(11) 前提 吉田(2001, 2004) 品詞ごとの文終止能力の見取り図 弱活用 存在詞 形容詞 終止形 弱 強 強 連体形 強 強 弱 連体形係り結び すなわち、弱活用の連体形は文終止がむしろ中心的な…

吉田茂晃(2004.3)文末時制助動詞の活用形について

吉田茂晃(2004.3)「文末時制助動詞の活用形について」『山辺道』48 前提 吉田(2001) 会話文における弱活用の連体形終止の用例は終止形のそれよりもむしろ多く、 連体形は叙述の流れを切るところにその本質がある 動詞述語文で係助詞と文末活用の関係が確…

吉田茂晃(2001.3)文末用言の活用形について

吉田茂晃(2001.3)「文末用言の活用形について」『山辺道』45 前提 係り結び研究は係り結び文だけを見ているが、用言述語全例を見て考えるべきではないか 弱活用、アリ、形容詞の終止・連体・已然形の例を考える 資料を以下の4類に分け、地の文・会話文に分…

永田里美(2018.3)『源氏物語』における反語表現:会話文中の「ヤハ」、「カハ」について

永田里美(2018.3)「『源氏物語』における反語表現:会話文中の「ヤハ」、「カハ」について」『跡見学園女子大学文学部紀要』53 要点 いわゆる反語のヤハ・カハの差異を示す ヤハの結びは既実現要素、カハの結びはムなどの未実現要素に偏り、 ヤハは聞き手…

鴻野知暁(2012.3)助詞コソの文末における一用法

鴻野知暁(2012.3)「助詞コソの文末における一用法」『言語情報科学』10 要点 終止位置におけるコソについて、以下のことを示す 上代に文の中間で用いられていたコソが、中古に文末の述語内部にも生起し、 それに伴い、ニコソアレが頻繁に使われるようにな…

小田勝(2010.2)疑問詞の結び

小田勝(2010.2)「疑問詞の結び」『岐阜聖徳学園大学紀要 教育学部編』49 要点 疑問詞疑問文における結びの形について、上代~中古の実態を調査し、疑問詞~終止形/連体形の両型が存することを説明する 問題 疑問詞疑問文の文末に、連体形・終止形の両方が…

坂詰力治(1990.2)室町時代における「こそ」の係り結び

坂詰力治(1990.2)「室町時代における「こそ」の係り結び」『近代語研究』8 要点 「こそ」の係り結びの崩壊の過程について 文語資料において 文語資料として、謡曲(車屋本)、曽我物語(大山寺本) 文語資料はどちらも9割弱が正しく係り結びされている 結…

青木博史(2015.11)終止形・連体形の合流について

青木博史(2015.11)「終止形・連体形の合流について」秋元実治・青木博史・前田満編『日英語の文法化と構文化』ひつじ書房 要点 終止形・連体形の合流に関して、中古は終止形→中世は連体形という見方をせず、文末準体句の広がりから見る 先行論 形態論的な…

大西拓一郎(2002.9)方言の係り結び

大西拓一郎(2002.9)「方言の係り結び」『国語論究 第9集 現代の位相研究』明治書院 要点 本土方言の係り結びについての共時的整理と、通時的見通しの提示 方言の係り結び 以下の3タイプが見られる こそ~已然形 疑問詞~已然形 疑問文~連体形 形態面のの…

衣畑智秀(2007.7)付加節から取り立てへの歴史変化の2つのパターン

衣畑智秀(2007.7)「付加節から取り立てへの歴史変化の2つのパターン」青木博史(編)『日本語の構造変化と文法化』ひつじ書房 要点 係り結び、間接疑問文はいずれもその成立に注釈節が想定されるが、異なる特徴(係り結びは直接疑問)を持つ 「注釈節のよ…

野村剛史(2001.1)ヤによる係り結びの展開

野村剛史(2001.1)「ヤによる係り結びの展開」『国語国文』70-1 要点 ヤによる係り結びに倒置・注釈・挿入説を想定せず、カの係り結びの位置に侵入したものと考える ヤの性格と係り結び 終助詞・間投助詞ヤは呼びかけ、問いかけなどの対者的性格が大方認め…

野村剛史(1995.9)カによる係り結び試論

野村剛史(1995.9)「カによる係り結び試論」『国語国文』64-9 要点 カによる係り結びの成立に注釈説を据え、その展開に以下の三段階を想定する 注釈的二文連置 「疑問的事態カ…実事的事態」 「…カ…ム系助動詞」 成立諸説 諸説は以下参照 hjl.hatenablog.com…

野村剛史(2005.11)中古係り結びの変容

野村剛史(2005.11)「中古係り結びの変容」『国語と国文学』82-11 語順法則 上代は以下の語順がほぼ守られるが、中古に入ると崩壊する …係助詞…ノ・ガ…連体形 物思へれかも声の悲しき これは、結びの部分が連体形句(≠連体形述語)であることの現れだが、中…

鴻野知暁(2010.12)ゾの係り結びの発生について

鴻野知暁(2010.12)「ゾの係り結びの発生について」『国語国文』79-12 要点 ゾの係り結びの成立に注釈説を想定する ただし、カの注釈的説明(原因・理由)と必ずしも同一視できない点があり、ゾの場合はそれを「体言ゾ」の説明性に求める 係り結び成立諸説…

堀尾香代子(2013.3)上代語にみるヤによる係り結びの異型

堀尾香代子(2013.3)「上代語にみるヤによる係り結びの異型」『北九州市立大学文学部紀要』82 id.nii.ac.jp 要点 上代における正常でないヤの係り結びの例に関して 間投助詞ヤから係助詞ヤへの過渡的な姿として捉える 上代の助詞ヤ 係助詞・終助詞・間投助…

堀尾香代子(2018.3)『万葉集』にみる非活用語に下接する文末助詞「や」

堀尾香代子(2018.3)「『万葉集』にみる非活用語に下接する文末助詞「や」」『北九州市立大学文学部紀要』88 id.nii.ac.jp 要点 一見特異に見える、活用語につかない文末の「や」の性質 多くは終止形・已然形に下接して疑問・反語を表すが、それとは性質が…

衣畑智秀(2016.1)係り結びと不定構文:宮古語を中心に

衣畑智秀(2016.1)「係り結びと不定構文:宮古語を中心に」『日本語の研究』12-1 doi.org 高山(2016)と関連して hjl.hatenablog.com 要点 係り結びが間接疑問・選言・不定といった構文(不定構文)の発生を抑制するという仮説を、宮古語方言を対象として…