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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

原因・理由

矢島正浩(2013.10)条件表現史における近世中期上方語ナレバの位置づけ

矢島正浩(2013.10)「条件表現史における近世中期上方語ナレバの位置づけ」『近代語研究17』武蔵野書院. 要点 ナレバ(<已然形+バ)において、活用型(雨降れば)に比して非活用形型(雨なれば)の変化(ホドニ・ニヨッテへの移行)が遅かったことについ…

片山鮎子(2022.3)宮内庁書陵部蔵『論語抄』の原因理由を表す接続形式について:ヲモッテ・ニヨリ・ニヨッテ・已然形+バ・ホドニ

片山鮎子(2022.3)「宮内庁書陵部蔵『論語抄』の原因理由を表す接続形式について:ヲモッテ・ニヨリ・ニヨッテ・已然形+バ・ホドニ」『岡大国文論稿』50. 要点 笑雲清三・宮内庁書陵部蔵「論語抄」(1514成立、1600写)を対象に、以下の5形式の調査を行う。…

杉山俊一郎(2012.5)中古和文における〈原因・理由〉を表す複合助詞の意味記述試論

杉山俊一郎(2012.5)「中古和文における〈原因・理由〉を表す複合助詞の意味記述試論」『論輯(駒澤大学)』40. 要点 中古和文における、アマリニ・ニツケテ・ユヱニ・ニヨリテの4種について、 意味関係の明示性に、以下の2類が認められる。 Ⅰ明示性が弱い…

吉野政治(1990.7)上代のタメについて

吉野政治(1990.7)「上代のタメについて」『万葉』136. 要点 形式名詞タメは、上代において将来の利益・目的・目標を示し、中古以後に漢文訓読の影響によって受身・原因・理由を表すようになったというのが通説である(岩波古語、時代別など)が、上代のタ…

大坪併治(1982.5)原因・理由を表はす文末のバナリについて

大坪併治(1982.5)「原因・理由を表はす文末のバナリについて」『訓点語と訓点資料』67. 要点 以下の已然形バ+ナリが、上代にはなく、中古には和歌、和文(散文)、訓読文に見られる。この文体間の差について、比較考察を行う。 吹く風の色の千種に見えつ…

葛西太一(2020.8)日本書紀における語りの方法と定型化:文末表現「縁也」による歴史叙述

葛西太一(2020.8)「日本書紀における語りの方法と定型化:文末表現「縁也」による歴史叙述」『和漢比較文学』65. 要点 書紀における、述作者の立場による注釈的記事が双行ではなく本行に現れるケースを「語り」として取り上げ、各記事の述作方針について考…

岩間智昭(2022.2)近世口語資料としての近世中期勧化本試論:菅原智洞作『浄土勧化文選』を対象に

岩間智昭(2022.2)「近世口語資料としての近世中期勧化本試論:菅原智洞作『浄土勧化文選』を対象に」『国文学論叢』67. 要点 以下の3点の分析より、『浄土勧化文選』(宝暦11[1761]刊)が、「「非中立的」な表現を内包する」資料であり、文語性の高い資…

小田佐智子(2016.3)岐阜方言の原因・理由に表れるモンデ

小田佐智子(2016.3)「岐阜方言の原因・理由に表れるモンデ」『阪大社会言語学研究ノート』14 要点 岐阜のモンデの形式的・意味的特徴の記述、 形式的特徴、 デ・モンデのいずれも終止形接続(あるデ/モンデ)だが、モンデは連体形接続(簡単なモンデ)も…

上野隆久(2005.6)江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として

上野隆久(2005.6)「江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として」『日本近代語研究4』ひつじ書房 要点 接続助詞カラには、後件で原因・理由を述べ、「からだ」で締めくくる用法があるが、江戸…

原口裕(1971.3)「ノデ」の定着

原口裕(1971.3)「「ノデ」の定着」『静岡女子大学研究紀要』4 要点 幕末までのノデは用例が少なく、デと併存する 初例は軽口御前男(元禄16[1703])、「格助詞デが準体助詞ノに接続する」用法 江戸川柳には比較的例が多く、明和・安永頃にようやくまとま…

吉井量人(1977.9)近代東京語因果関係表現の通時的考察:「から」と「ので」を中心として

吉井量人(1977.9)「近代東京語因果関係表現の通時的考察:「から」と「ので」を中心として」『国語学』110 要点 江戸語・東京語のノデ・カラについて考える 全体的な調査、 カラが会話文に使われ始めるのは1700年頃からで、1760年頃から中心形式に 1800年…

李淑姫(2005.5)中世日本語の因由形式ニヨッテの階層

李淑姫(2005.5)「中世日本語の因由形式ニヨッテの階層」『日本學報』63 要点 李(1998)では虎明本の因由形式の階層を以下のように記述したが、ニヨッテとトコロデはその前後で異なる特徴を見せる ホドニ・トコロデ・アイダはC類、已バ・ニヨリテ・ニヨッ…

李淑姫(2004.3)中世日本語の原因・理由を表す接続形式の階層構造:抄物資料を中心に

李淑姫(2004.3)「中世日本語の原因・理由を表す接続形式の階層構造:抄物資料を中心に」『日本學報』58 要点 小林千草(1973)の中世末のホドニとニヨッテの指摘は、現代語のカラ・ノデと並行する ウ・ヨウ・マイが上接可能かどうか/後件に推量・意志・命…

高瀬正一(1992.3)『古今集遠鏡』における「已然形+ば」の訳出について

高瀬正一(1992.3)「『古今集遠鏡』における「已然形+ば」の訳出について」『国語国文学報(愛知教育大学)』50 要点 遠鏡において已バがどのように訳出されているかを明らかにしたい 近代語への変遷の過程で、已バは仮定条件を表すようになっており、 確…

三原裕子(2016.2)後期咄本に現れる原因・理由を表す条件句

三原裕子(2016.2)「後期咄本に現れる原因・理由を表す条件句」『(アクセント史資料研究会)論集』11 前提 明和以降の後期咄本について、以下の問題を考えたい ホドニ・ニヨッテ・サカイの衰退と カラの隆盛・ノデの抬頭 全体的な推移 江戸板では、 上方語…

清水登(1988.12)抄物における「ゾナレバ」の用法について

清水登(1988.12)「抄物における「ゾナレバ」の用法について」『長野県短期大学紀要』43 要点 抄物に特徴的なゾナレバは連語として見なすべきではなく、疑問文ト云ヘバと可換 前提 鈴木博はゾナレバを「接的接続詞」として扱い、「…か?そのわけは…」「…か…

松尾弘徳(2008.3)因由形式間の包含関係から見た天理図書館蔵『狂言六義』

松尾弘徳(2008.3)「因由形式間の包含関係から見た天理図書館蔵『狂言六義』」『文献探究』46 要点 天理本の因由形式の包含関係は中世末のそれと、天理本の内部変異を反映する 前提 李(1998)の観点に基づき、天理本における因由形式の包含関係を調べたい …

李淑姫(2002.8)『応永二十七年本論語抄』の因由形式の階層

李淑姫(2002.8)「『応永二十七年本論語抄』の因由形式の階層」『筑波日本語研究』7 要点 応永本論語抄のニヨッテは、キリシタン資料・虎明本と比べると階層的にはホドニに近い 前提 抄物における因由形式についての小林1973の記述 ホドニ・ニヨッテは口語…

李淑姫(2000.8)キリシタン資料における原因・理由を表す接続形式:ホドニ・ニヨッテ・トコロデを中心に

李淑姫(2000.8)「キリシタン資料における原因・理由を表す接続形式:ホドニ・ニヨッテ・トコロデを中心に」『筑波日本語研究』5 要点 虎明本ではC類だったトコロデ・アイダが、キリシタン資料ではB類だった 前提 虎明本を分析した李(1998)では、 ニヨッ…

李淑姫(1998.10)大蔵虎明本狂言集の原因・理由を表す接続形式について:その体系化のために

李淑姫(1998.10)「大蔵虎明本狂言集の原因・理由を表す接続形式について:その体系化のために」『筑波日本語研究』3 要点 虎明本の因由形式を、南の従属句の観点に基づいて分類する 前提 中世の因由形式の包含関係を階層的分類と関連付けて考えたい ホドニ…

松尾弘徳(2000.6)天理図書館蔵『狂言六義』の原因・理由を表す条件句:ホドニとニヨッテを中心に

松尾弘徳(2000.6)「天理図書館蔵『狂言六義』の原因・理由を表す条件句:ホドニとニヨッテを中心に」『語文研究』89 要点 ホドニ・ニヨッテの交替現象が、天理本内部で見られることを指摘し、 従来虎明本→虎寛本の時期での交替現象と見られたものを、むし…

吉田永弘(2001.3)平家物語のホドニ:語法の新旧

吉田永弘(2001.3)「平家物語のホドニ:語法の新旧」『国語研究』64 要点 吉田(2000)のホドニの用法を基準にした、平家諸本の位置付けの検討 hjl.hatenablog.com 前提 吉田(2000)によるホドニの三段階 平安において、前件と後件が時間的に重なる用法(…

小川志乃(2004.6)カラニの一用法:接続助詞カラ成立の可能性をめぐって

小川志乃(2004.6)「カラニの一用法:接続助詞カラ成立の可能性をめぐって」『語文』82 要点 カラ成立の「カラニのニ脱落説」についての検討 従来逆接とされたムカラニを原因理由の一部と捉えることで、カラニが断絶しなかったものと考える 問題 カラ成立の…

吉田永弘(2007.7)中世日本語の因果性接続助詞の消長:ニヨッテの接続助詞化を中心に

吉田永弘(2007.7)「中世日本語の因果性接続助詞の消長:ニヨッテの接続助詞化を中心に」青木博史編『日本語の構造変化と文法化』くろしお出版 要点 ホドニからニヨッテへの交替について、 接続助詞化の過程を構造変化に求め、 交替の要因にホドニの用法拡…

竹内史郎(2006.3)ホドニの意味拡張をめぐって:時間関係から因果関係へ

竹内史郎(2006.3)「ホドニの意味拡張をめぐって:時間関係から因果関係へ」『日本語文法』6-1 要点 時間関係を示すホドニから因果関係を示すホドニへの意味拡張について 特にそのプロセスについて「因果連鎖パターン」の慣習化という観点からの説明を試み…

吉田永弘(2000.12)ホドニ小史:原因理由を表す用法の成立

吉田永弘(2000.12)「ホドニ小史:原因理由を表す用法の成立」『国語学』51-3 要点 時間的用法のホドニの原因理由用法への拡張について、以下の過程を想定 平安において、前件と後件が時間的に重なる用法 院政鎌倉期に、時間的重なりを持たず、先後関係を持…

矢島正浩(2018.12)条件表現史から見た近世:時代区分と東西差から浮かび上がるもの

矢島正浩(2018.12)「条件表現史から見た近世:時代区分と東西差から浮かび上がるもの」『日本語学』37-13 前提 近世語の時代的位置付けとして、「文語・口語」「江戸と京阪」「方言の対立」「階級的言語の対立」など、二元・対立の時代とされてきた 条件表…

吉田永弘(2014.1)古代語と現代語のあいだ:転換期の中世語文法

吉田永弘(2014.1)「古代語と現代語のあいだ:転換期の中世語文法」『日本語学』33-1 要点 転換期として位置付けられる中世語の事例として、 連体法の「む」の衰退 仮定形の成立 肯定可能の「る・らる」の拡張 を挙げ、これを軌を一にする変化として統一的…

吉田永弘(2011.11)タメニ構文の変遷:ムの時代から無標の時代へ

吉田永弘(2011.11)「タメニ構文の変遷:ムの時代から無標の時代へ」青木博史編『日本語文法の歴史と変化』くろしお出版 問題 タメニの意味が目的になるか原因になるかは、述語の意味と形式によってある程度決まる 意志性述語の無標形→目的:本を買うために…

馬紹華(2017.3)原因・理由を表す「せい」の成立について

馬紹華(2017.3)「原因・理由を表す「せい」の成立について」『訓点語と訓点資料』138 要点 望ましくない原因・理由を表す「せい」について、以下2点を明らかにする 「所為」から「せい」への変化の過程 原因理由用法の成立の過程 「所為」 源流として、 漢…