ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

抄物

古田龍啓(2020.9)清原良賢講『論語抄』の諸本について

古田龍啓(2020.9)「清原良賢講『論語抄』の諸本について」『訓点語と訓点資料』145 要点 東山本の良賢抄は『応永27年本論語抄』としてよく使われるが、誤写の問題については看過されている 東山本、米沢本、大東急本、両足院本と、良賢抄の書き入れがある…

山田潔(2019.9)『両足院本毛詩抄』における「う」「うず」の用法

山田潔(2019.9)「『両足院本毛詩抄』における「う」「うず」の用法」『近代語研究』21 要点 概ねウはムの用法を継承し、ウズはベシを継承するが、毛詩聴塵と毛詩抄(両足院本)の対応関係は必ずしも「ム:ベシ=ウ:ウズ」ではない 報スベキニ - 報セウ物…

山田潔(2001)助動詞「うず」の表現性(5)玉塵抄の助動詞「うず」

山田潔(2001)「助動詞「うず」の表現性」『玉塵抄の語法』清文堂出版 初出1998「玉塵抄の助動詞「ウズ」」『学苑』694 要点 ウズについてこれまで分かったこと6点 1 ウは疑問詞と呼応し、単純な推量を表すのに対し、ウズは確かな推量および近接した未来を…

山田潔(2001)助動詞「うず」の表現性(3)蒙求抄における助動詞「ウ」「ウズ」の考察:史記抄との比較を通して

山田潔(2001)「助動詞「うず」の表現性」『玉塵抄の語法』清文堂出版 初出1976「蒙求抄における助動詞「ウ」「ウズ」の考察:史記抄との比較を通して」『学芸国語国文学』12 要点 史記抄・キリシタンで得られた結論と、ウズ衰退期の蒙求抄(寛永15版)を比…

山田潔(2001)助動詞「うず」の表現性(2)史記抄における助動詞「う」「うず」

山田潔(2001)「助動詞「うず」の表現性」『玉塵抄の語法』清文堂出版 初出1975「史記抄における助動詞「ウ」「ウズ」の考察」『国学院雑誌』76(7) 要点 キリシタンの結果に基づきつつ、抄物におけるウ・ウズについて考える 以下の点はキリシタンと同様 1 …

李淑姫(2004.3)中世日本語の原因・理由を表す接続形式の階層構造:抄物資料を中心に

李淑姫(2004.3)「中世日本語の原因・理由を表す接続形式の階層構造:抄物資料を中心に」『日本學報』58 要点 小林千草(1973)の中世末のホドニとニヨッテの指摘は、現代語のカラ・ノデと並行する ウ・ヨウ・マイが上接可能かどうか/後件に推量・意志・命…

小林正行(2010.10)抄物資料における副助詞ガナ

小林正行(2010.10)「抄物資料における副助詞ガナ」『近代語研究』15 要点 小林(2005)以前のガナの状況を調べたい 抄物・キリシタンには全体的に用例が少なく、 上接語はほぼ不定語、 直接(ナニガナ)が先行し、ト等を介在するようになる(ナニトガナ) …

清水登(1988.12)抄物における「ゾナレバ」の用法について

清水登(1988.12)「抄物における「ゾナレバ」の用法について」『長野県短期大学紀要』43 要点 抄物に特徴的なゾナレバは連語として見なすべきではなく、疑問文ト云ヘバと可換 前提 鈴木博はゾナレバを「接的接続詞」として扱い、「…か?そのわけは…」「…か…

高見三郎(1990.6)『杜詩続翠抄』の「マジイ」「ベイ」

高見三郎(1990.6)「『杜詩続翠抄』の「マジイ」「ベイ」」『女子大国文』107 要点 杜詩続翠抄にはマジイがある程度用いられており、ベイも固定せずに用いられている 前提 杜詩続翠抄はナリ体だが、ナリ・ゾは口語性の一つの目安に過ぎないので、マジイ・ベ…

高見三郎(1977.3)杜詩の抄:杜詩続翠抄と杜詩抄

高見三郎(1977.3)「杜詩の抄:杜詩続翠抄と杜詩抄」『山辺道』21 諸本 杜詩続翠抄 両足院蔵「杜詩続翠抄」 国会図書館蔵「杜詩続翠鈔」 杜詩抄 両足院蔵「杜詩抄」 足利学校図書館蔵「杜詩抄」 原典は『集千家註批点杜工部詩集』 続翠抄 両足院本続翠抄は…

山田巌・木村晟(1976.2)『本則抄』について

山田巌・木村晟(1976.2)「『本則抄』について」『駒沢国文』13 要点 駒沢大本『本則抄』の言語的特徴について 本則抄 禅林類聚からの抽出・加注の東国抄物 講述者は「春夕」、「春積」とあり、 位作山陽林寺二世の盛南舜奭(-1541)か、 梅龍山東竹院四世…

李淑姫(2002.8)『応永二十七年本論語抄』の因由形式の階層

李淑姫(2002.8)「『応永二十七年本論語抄』の因由形式の階層」『筑波日本語研究』7 要点 応永本論語抄のニヨッテは、キリシタン資料・虎明本と比べると階層的にはホドニに近い 前提 抄物における因由形式についての小林1973の記述 ホドニ・ニヨッテは口語…

迫野虔徳(2012.12)仮定条件表現「ウニハ」

迫野虔徳(2012.12)「仮定条件表現「ウニハ」」『方言史と日本語史』清文堂 要点 東国抄物に見られる「ウニハ」の再検討 問題 金田弘の指摘する、東国抄物の特徴語 コピュラのダ 助動詞ナイ 助動詞ヨウ 助動詞ベイ ハ行四段動詞連用形促音便 形容詞連用形の…

外山映次(1969)条件句を作る「ウニハ」をめぐって

外山映次(1969)「条件句を作る「ウニハ」をめぐって」『佐伯博士古稀記念国語学論集』表現社 要点 特に洞門抄物に見られる「ウニハ」について ムニハ > ンニハ を経た室町口語のウニハを洞門抄物が取り入れ、固定化したものと見る 問題 無門関抄四十八則の…

福沢将樹(2018.10)事態継続と期間継続:中世抄物を中心に

福沢将樹(2018.10)「事態継続と期間継続:中世抄物を中心に」青木博史・小柳智一・吉田永弘編『日本語文法史研究 4』ひつじ書房 要点 「継続」を「事態継続」と「期間継続」に分けて分析することで、純粋な「動作継続」が中世後期には見られないことを示す…

山田潔(2015.3)『玉塵抄』の並列表現:「ツ」「タリ」の用法

山田潔(2015.3)「『玉塵抄』の並列表現:「ツ」「タリ」の用法」中村綠郎編『日本語史の研究と資料』明治書院 要点 ツ・タリによる並列表現に関して、玉塵抄の定点観測に基づき、タリがツを侵食する過程を見る ツの用法 V1V2ツ:アガツヽサガツヽ -対義と…

村上昭子(1976)『玉塵抄』『詩学大成抄』における四段動詞および上一段動詞「見る」に対応する下一(二)段動詞

村上昭子(1976)「『玉塵抄』『詩学大成抄』における四段動詞および上一段動詞「見る」に対応する下一(二)段動詞」『佐伯梅友博士喜寿記念国語学論集』表現社 要点 下二段動詞が、尊敬・可能・受身の用法を持つこと その「尊敬」のあり方の検証 下二段動…

三宅俊浩(2018.6)無意志自動詞と「可能」との関係からみた「読むる・読める」の位置づけ

この記事の続き hjl.hatenablog.com 要点 三宅(2016)説、可能動詞の中で成立の早い「読むる」が「特定の動作主を取らない」対象の属性としての可能であったことを、「自動詞と可能の連続性」という観点から観察するもの 無意志自動詞の分類 無意志自動詞を…

三宅俊浩(2016.4)可能動詞の成立 ほか

ほか とは 可能動詞関連の論文が同時期に2本出たので、二氏の論文を中心に 三宅俊浩(2016.4)「可能動詞の成立」『日本語の研究』12-2 三宅俊浩(2018.6)「無意志自動詞と「可能」との関係からみた「読むる・読める」の位置づけ」『国語と国文学』95-6 青…