ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

敬語

森勇太(2018.5)近世・近代における授受補助動詞表現の運用と東西差:申し出表現を中心に

森勇太(2018.5)「近世・近代における授受補助動詞表現の運用と東西差:申し出表現を中心に」小林隆(編)『コミュニケーションの方言学』ひつじ書房 要点 申し出表現の地理的なバリエーションを考える (その荷物は私が)持たしてもらいます(GAJ320・京都…

小島和(2011.1)『天草版平家物語』に用いられる待遇表現について:「地の文」を中心に

小島和(2011.1)「『天草版平家物語』に用いられる待遇表現について:「地の文」を中心に」『上智大学国文学論集』 要点 天草平家の地の文が対話による語りであることに注目する 喜一は右馬に対して「こなた」を使い、右馬は喜一に「そなた」を使う この差…

嶺田明美(2019.1)従属節内の丁寧体と非丁寧体:接続助詞に接続する文体について

嶺田明美(2019.1)「従属節内の丁寧体と非丁寧体:接続助詞に接続する文体について」『学苑』939 要点 BCCWJに基づいて、従属節の丁寧体(降りましたホーム)について考える デスマスが後方共起する従属節を調査 三尾砂1942のデータと比べると、以下の通り …

川口敦子(2002.9)キリシタン資料の「口語資料」と「文語資料」:「ござる」の用法を手がかりに

川口敦子(2002.9)「キリシタン資料の「口語資料」と「文語資料」:「ござる」の用法を手がかりに」『国語国文』71(9) 要点 ゴザルの使われ方を手がかりに、キリシタン資料における「口語」「文語」について考える 天草平家における「世話」のようなものが…

大倉浩(1993.7)和泉家古本にみる狂言用語の整理・統一:「おりゃる」と「まらする」

大倉浩(1993.7)「和泉家古本にみる狂言用語の整理・統一:「おりゃる」と「まらする」」『小松英雄博士退官記念日本語学論集』三省堂 要点 オリャルとマラスルの使用状況を通して、天理本(1624-44)と古本六議(1652-1703)のことを考える 古本は、固定化…

Kyou-Dong Ahn, 2020. From honor to disparagement: The grammaticalization of -tapsiko in Korean

Kyou-Dong Ahn, 2020. From honor to disparagement: The grammaticalization of -tapsiko in Korean. Journal of Pragmatics 155, 28-42. 要旨 韓国語には話し手の主観的態度を伝えるカテゴリーがあり、その中に、複合的に、軽蔑的な意(pejorative)を示す…

渡辺由貴(2011.3)中世における文末表現「と思ふ」と「と存ず」

渡辺由貴(2011.3)「中世における文末表現「と思ふ」と「と存ず」」『早稲田日本語研究』20 前提 中世における文末表現の「と思う」「と存ず」の位置付けを、以下2点から考えたい 話し手と聞き手の関係性 モダリティとしての表現性 分析1 身分の関係を見る…

高桑恵子(2015.9)「御覧ず」の関係規定性:源氏物語における

高桑恵子(2015.9)「「御覧ず」の関係規定性:源氏物語における」『国学院雑誌』116(9) 要点 「御覧ず」と「見たまふ」の違いについて、御覧ずには関係規定性が認められ、見たまふにはそれがないことを示す 前提 御覧ずは見たまふより敬意が高いとされるが…

近藤泰弘(2019.2)平安時代の敬語の形態論

近藤泰弘(2019.2)「平安時代の敬語の形態論」『日本語学』38-2 問題 「敬語動詞の視点の中和」の問題 おはす・まゐるは非敬語形が行く・来・ありだが、敬語形になるとダイクシスが一見分からなくなる 行く・来の持つ方向性の視点と、おはす・まゐるの持つ…

森勇太(2011.9)授与動詞「くれる」の視点制約の成立:敬語との対照から

森勇太(2011.9)「授与動詞「くれる」の視点制約の成立:敬語との対照から」『日本語文法』11-2 要点 クレルが持つ視点制約について、 中古においてはそれが存しなかったこと、クレル・テクレルがタブ・テタブと共通性を持つことを示し、 「話し手を高めな…

青木博史(2018.10)「ござる」の丁寧語化をめぐって

青木博史(2018.10)「「ござる」の丁寧語化をめぐって」青木博史・小柳智一・吉田永弘編『日本語文法史研究 4』ひつじ書房 要点 ござるの丁寧語化について、以下の点を示す 尊敬から謙譲を表す段階を経て、特に補助動詞「てござる」類において丁寧語化した…

高桑恵子(2017.2)「御覧ぜらる」における対者敬語の用法

高桑恵子(2017.2)「「御覧ぜらる」における対者敬語の用法」『国語研究』80 問題 「御覧ず」には関係規定性があるが、「見たまふ」には関係規定性が認められない (桐壺帝ガ、桐壺更衣ヲ)いとどあはれと御覧じて、(桐壺):動作主体が動作客体より上位者…

呉寧真(2017.2)動詞連用形に後接する「おはす・おはします」

呉寧真(2017.2)「動詞連用形に後接する「おはす・おはします」」『国語研究』80 この論文関連で hjl.hatenablog.com 要点 「~おはす・おはします」が、「~来」「~行」の敬語形としての複合動詞後項なのか、主体に敬意を添える補助動詞なのか、という問…

大久保一男(2016.2)「思さる」の「る」

大久保一男(2016.2)「「思さる」の「る」」『国語研究』79 要点 思さる(思す+る)の「る」を尊敬と解釈するものがあるが、少なくとも源氏においてはそうではないものと考える 上(桐壺)も、藤壺の見給はざらむを飽かず思さるれば、(紅葉賀) 物足りな…

呉寧真(2018.8)中古和文複合動詞の主体敬語の形

呉寧真(2018.8)「中古和文複合動詞の主体敬語の形」『日本語の研究』14-3 要点 中古和文複合動詞の主体敬語は、動詞の敬意差によって異なる形で現れる 敬語独立動詞を用いる傾向がある動詞と,「たまふ」を用いる傾向がある動詞に分かれ,敬語独立動詞が2…