ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

文法化

劉小妹(2020.3)名詞「かたわら」の文法化について : 『日本語歴史コーパス明治・大正編Ⅰ雑誌』の調査による

劉小妹(2020.3)「名詞「かたわら」の文法化について : 『日本語歴史コーパス明治・大正編Ⅰ雑誌』の調査による」『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』49. https://doi.org/10.18926/58143 要点 名詞「かたわら」の文法化の状況について扱う。 空間的な…

釘貫亨(1999.7)完了辞リ、タリと断定辞ナリの成立

釘貫亨(1999.7)「完了辞リ、タリと断定辞ナリの成立」『万葉』170. 要点 「どのような文法的条件によってテアリからタリが、ニアリから断定ナリが、また動詞+アリからリを生起したのか」について考える。 タリ・テアリについては、以下の特徴が認められる…

中川祐治(2006.4)副詞はどう変化するのか:日本語史から探る副詞の諸相

中川祐治(2006.4)「副詞はどう変化するのか:日本語史から探る副詞の諸相」『日本語学』25(5) 要点 文法化の枠組みで、副詞の変化の実態とメカニズムについて考える 1 イタク・イト イタもしくは形容詞イタシから派生した語で、 イタク・イト(甲)は原義…

小西いずみ(2013.10)西日本方言における「と言う」「と思う」テ形の引用標識化

小西いずみ(2013.10)「西日本方言における「と言う」「と思う」テ形の引用標識化」藤田保幸(編)『形式語研究論集』和泉書院 要点 トイウのテ形がト同様の働きをする現象について考える ヤメタイユーテ ユータ(富山市・やめたいと言った) データ、 富山…

平塚雄亮(2019.7)甑島里方言のbasi

平塚雄亮(2019.7)「甑島里方言のbasi」『阪大社会言語学研究ノート』16 要点 九州方言でとりたて助詞的に使われる basi は、里方言では形式名詞的にも使われる tanpoo=ni=basi ita=to=jaroo / 田んぼにでも行ったんだろう sir-an basi=n goto / 知らないわ…

竹内史郎(2018.3)動詞「ありく」の文法化:平安時代語のアスペクト表現における一考察

竹内史郎(2018.3)「動詞「ありく」の文法化:平安時代語のアスペクト表現における一考察」『国語語彙史の研究』38 要点 アスペクト的に使われるアリクの文法化について記述し、 文法化研究と琉球諸語研究に位置付ける 琉球諸語の「歩く」 伊江島方言におい…

日高水穂(2013.10)複合辞「という」の文法化の地域差

日高水穂(2013.10)「複合辞「という」の文法化の地域差」藤田保幸編『形式語研究論集』和泉書院 要点 「という」を事例として「文法化の地域差」を考える 前提 共通語において、トイウ/ッテ/ッチュウ・ッツウ 引用・伝聞に用いられるが、ッチュウ・ッツ…

三宅知宏(2015.3)日本語の「補助動詞」について

三宅知宏(2015.3)「日本語の「補助動詞」について」『鶴見日本文学』19 要点 補助動詞として呼ぶべきカテゴリーを明確にし、 補助動詞の分析に「文法化」と「構文」の観点が有効であることを示す 前提 V1テV2の後項を指して「補助動詞」とする いわゆる複…

小野寺典子(2017.3)語用論的調節・文法化・構文化の起きる周辺部:「こと」の発達を例に

小野寺典子(2017.3)「語用論的調節・文法化・構文化の起きる周辺部:「こと」の発達を例に」同編『発話のはじめと終わり:語用論的調節のなされる場所』ひつじ書房 「周辺部」に関して 周辺部研究の重要性 ①「発話のはじめと終わり」(周辺部)が語用論的…

小柳智一(2018.5)文法変化の研究

小柳智一(2018.5)『文法変化の研究』くろしお出版 斜め読み

日高水穂(2005.7)方言における文法化:東北方言の文法化の地域差をめぐって

日高水穂(2005.7)「方言における文法化:東北方言の文法化の地域差をめぐって」『日本語の研究』1-3 要点 事例:格助詞サ、格助詞コト・トコ、過去のテアッタ・タッタ 記述のまとめ:日本海側では文法形式の機能を大幅に変質させる文法化が生じているのに…