ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

琉球

ローレンス・ウエイン(2011.10)琉球語から見た日本語希求形式=イタ=の文法化経路

ローレンス・ウエイン(2011.10)「琉球語から見た日本語希求形式=イタ=の文法化経路」『日本語の研究』7(4). 要点 本土日本語の=イタシ(タシ)には以下の経路が想定されているが、2つ目の変化は類型的には支持されない 痛し > 甚し > 希望 琉球語鳩間…

内間直仁(1985.3)係り結びのかかりの弱まり:琉球方言の係り結びを中心に

内間直仁(1985.3)「係り結びのかかりの弱まり:琉球方言の係り結びを中心に」『沖縄文化研究』11 要点 中央語の係り結び衰退の要因は明らかでないが、琉球語が示唆する点がある 琉球の活用形について2点、 奄美・沖縄では終止形、連体形、du係結形が概ね区…

坂井美日(2019.9)南琉球宮古語における準体の変化に関する考察

坂井美日(2019.9)「南琉球宮古語における準体の変化に関する考察」『方言の研究 5』ひつじ書房 要点 宮古語の準体にはゼロ準体と準体助詞 =su, =munu の準体があり、 ゼロ準体はコト準体から許容されなくなり、これは本土方言の歴史と一致する 準体助詞 su…

竹内史郎(2018.3)動詞「ありく」の文法化:平安時代語のアスペクト表現における一考察

竹内史郎(2018.3)「動詞「ありく」の文法化:平安時代語のアスペクト表現における一考察」『国語語彙史の研究』38 要点 アスペクト的に使われるアリクの文法化について記述し、 文法化研究と琉球諸語研究に位置付ける 琉球諸語の「歩く」 伊江島方言におい…

竹内史郎(2008.4)古代日本語の格助詞ヲの標示域とその変化

竹内史郎(2008.4)「古代日本語の格助詞ヲの標示域とその変化」『国語と国文学』85-4 問題 現代語の格助詞ヲは他動詞文の目的語標示で、自動詞などの述語の唯一項を標示しない。すなわちヲは、 少なくとも2つの補語が含まれる構文に現れる 複数の補語のうち…

衣畑智秀(2017.3)南琉球宮古方言の終止連体形:方言に見る活用形の合流

衣畑智秀(2017.3)「南琉球宮古方言の終止連体形:方言に見る活用形の合流」『日本語文法』17-1 要点 宮古諸方言における「書く」に、2形がある地域と、統一されている地域の事例を見ることで、活用形の合流(終止連体形と連用形の合流)が起こっていること…