ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

進行中の変化

金澤裕之(1997.4)助動詞「ない」の連用中止法について

金澤裕之(1997.4)「助動詞「ない」の連用中止法について」『日本語科学』1 要点 近年、規範的ではない否定の連用中止法「~なく」が認められる このとき本塁上には捕手はいなく木村の快走でこの回二点をあげて優位に立った。 ナク中止の特徴2点、 状態述語…

橋本行洋(2001.2)カス型動詞の一展開:ワラカスの成立からワラケルの派生へ

橋本行洋(2001.2)「カス型動詞の一展開:ワラカスの成立からワラケルの派生へ」『語文』75-76 要点 標記の問題について、成立・派生と現代語の語彙体系の位置付けを考える ワラカスについて、 江戸末期江戸語~明治初期東京語から見られ始め、近年ではむし…

小林美沙子(2010.3) 新方言として終助詞化した「し」の命令・禁止・勧誘表現について

小林美沙子(2010.3)「新方言として終助詞化した「し」の命令・禁止・勧誘表現について」『首都圏方言の研究』1-1 要点 接続助詞シに由来する終助詞シに、「しろし」などの命令・禁止・勧誘が見られる 調査 命令・依頼・禁止にはつかないとされているが、つ…

藏本真由(2018.3)「感じがする」の前接要素と形態的特徴

藏本真由(2018.3)「「感じがする」の前接要素と形態的特徴」『国文学』102 前提 「感じがする」の通時変化について、以下の資料を用いて、 近代文学・近代雑誌 現代文学・雑誌・Yahoo・Twitter 以下の観点から考える 様態・引用形式前接の有無 前接品詞 形…

平塚雄亮(2019.3)福岡市方言の準体助詞にみられる言語変化

平塚雄亮(2019.3)「福岡市方言の準体助詞にみられる言語変化」『中京大学文学会論叢』5 前提 福岡市の若年層によって、伝統的なトだけでなく、ノ・ンも用いられるようになっている が、どのような環境でそうなるかは報告されていない どういった環境で非伝…

新野直哉(2012.3)昭和10年代の国語学・国語教育・日本語教育専門誌に見られる言語規範意識 :副詞”とても”・「ら抜き言葉」などについて

新野直哉(2012.3)「昭和10年代の国語学・国語教育・日本語教育専門誌に見られる言語規範意識:副詞”とても”・「ら抜き言葉」などについて」『言語文化研究(静岡県立大学短期大学)』11 要点 タイトルまんま、専門誌の論文における言語意識の記述について …

松尾弘徳(2009.6)新方言としてのとりたて詞ゲナの成立:福岡方言における文法変化の一事例

松尾弘徳(2009.6)「新方言としてのとりたて詞ゲナの成立:福岡方言における文法変化の一事例」『語文研究』107 要旨 福岡における若者中心の方言の変化に見られる、助動詞ゲナが「数学げな嫌い」となる、とりたてのゲナの成立について 九州のゲナ 近世期に…

尾谷昌則(2015.12)接続詞「なので」の成立について

尾谷昌則(2015.12)「接続詞「なので」の成立について」加藤重広編『日本語語用論フォーラム 1』ひつじ書房 要点 文頭なのでの成立に関する問題 これまでの指摘や文体的・語用論的特徴をまとめ、 接続詞化のプロセスに関しては「それなので」の「それ」の削…

川口良(2017.9)若者ことばに見る(間)主観化について:「大丈夫」の新用法に関して

川口良(2017.9)「若者ことばに見る(間)主観化について:「大丈夫」の新用法に関して」『文学部紀要(文教大学)』31-1 要点 断りの「大丈夫」の発達を主観化・間主観化と関連付けて考える 大丈夫の新用法 断りの「大丈夫」 (お代わりは)大丈夫です カ…

藏本真由(2018.3)前接要素・形態的特徴からみる「気がする」の意味変化

藏本真由(2018.3)「前接要素・形態的特徴からみる「気がする」の意味変化」『国語語彙史の研究』37 要点 現代にかけて、「気がする」に意味変化が起こっていることの指摘 ただ其当時に立ち戻りたい様な気もした(漱石・思ひ出す事など) この間より、ちょ…

島田泰子(2018.3)副詞〈なんなら〉の新用法:なんなら論文一本書けるくらい違う

島田泰子(2018.3)「副詞〈なんなら〉の新用法:なんなら論文一本書けるくらい違う」『二松學舍大学論集』61 要点 タイトルまんま、現代における「なんなら」の新用法の発達に関して 従来の「なんなら」 日国に立項されるのは、以下の2種 (1)相手の意志・希…