岡村弘樹(2018.3)「上代における動詞ホル(欲)の活用」『国語語彙史の研究』37
要点
- 日国・角川古語・時代別などで四段活用とされる動詞「ホル」が、四段であると解釈しづらい。万葉集では「ホル」は「ホリ」のみ、もしくは「ホリス」(未・連体・已然)として現れる。四段とみなした場合に、ホリを連用形として解釈し難い例がある
- ホル+引用ト→ホリト(×ホルト)
- 和歌の末尾で、~ホリ。(×~ホル)
- ホル+カモ→ホリカモ(×ホルカモ、×ホレカモ)
- これらの例や、四段として衰退する理由もないので四段であったとは考えられない
- 「ホリカモ」の例から、ラ変であったとも考えられない
- 「ホリ」古態上一段の連用形説
気になること
- ホシとの関連性をどう考えるか(マクホリ・マクホシで対立するところとか併せて)
- 我が見が欲し〈本斯〉国は(古事記歌謡)
- 類例に「長き日を待ちかも〈麻知可母〉恋ひむ愛しき妻らは」(4331)があるが、「待ちかも」が挿入句で、「待ち」を連用形転生名詞と解釈すべき例?
- 四段ホルでないとすると、ホル出自かと目されるムサボル(初例は中古まで下る)が成立できない?