金田一春彦(1953)不変化助動詞の本質:主観的表現と客観的表現の別について
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金田一(1953)
- 「(よ)う」「まい」は終止形(終止用法)と連体形(連体用法)とで異なる意味を持つ
- 終止:意志・推量
- 連体:仮想「行こうが行くまいが」「あろう人が」、可能性「あろうはずがない」、スルコトガ許サレテイルの意「あろうことかあるまいことか」
- よって、意志・推量を表す場合は終止形しか持たない別の助動詞として扱う
- 不変化助動詞の意味的性質に「話者の主観的表現を表す」ことを設定することで、時枝詞辞説を批判
- 例えば、「う」と「つもり」が主観・客観で対比される
- 「う」「よう」「まい」「だろう」といった不変化助動詞のみが主観的な意味を表すこと、主観的に用いられる語は文の末尾以外に立たないことを指摘
- タの一部:想起「今日は僕の誕生日だった」、命令「ちょっと待った」
- ダの一部:注意をうながす「そこでだ」
- ナイの一部:勧誘「もう寝ない?」
尾上(2012)
- 現代のモダリティ論は非現実形式としてのモダリティ(A説)と話者の主観表現としてのモダリティ(B説)に分かれ、金田一の不変化助動詞への注目はB説に結びつくが、果たしてそれは必然的か
- 不変化助動詞の特殊性が客観的VS主観的という文末辞論ではなく、現実叙法VS非現実叙法の問題として展開されるべきものであることを論じる