小島聡子(2001.8)「平安時代の複合動詞」『日本語学』20-8
要点
- 古典語複合動詞について、その認定の方法と、V+V→VテVの移行の条件
平安時代の複合動詞
- 何をもって複合動詞とするか?の問題
- 意味的な密着性をもって「複合」と考え、補助動詞レベルのものも含めて広く「複合動詞」と捉えておく
- 後項動詞になる「行く」のケース
- 移動を示す場合には未然形・連用形の割合が低くない
- 時間を示す場合には未然形・連用形の割合が少ない
- このような活用の分布の偏りは、連用形接続の助動詞群の活用形の偏りと一致し、連用形接続の助動詞と同様の語となっているものと見られる
- 「行く」はこの後、V+VからVてVへ移行
- テを介在させる形について、
- 現代語でテ形があり、古典語にもテ形の語列が存する場合、古典語ではその語が複合動詞後項の用法を持っている
- 行く、来る、置く、見る、居る、見すなど
- すなわち、意味の変化・補助動詞化に伴って新しくテ形を獲得するというよりは、もともとあるテ形が何らかの要因によって補助的なものに意味を変える、という流れ
- 現代語でテ形があり、古典語にもテ形の語列が存する場合、古典語ではその語が複合動詞後項の用法を持っている
- 古典語におけるある語が、現代語でテ形の補助動詞として用いられるようになる条件として、
- 古語でも、形としてはテ形がある
- 古語で複合動詞の後項として補助的な用法がある
- テ形も複合動詞も両方ある程度の用例がある
- 現代語において複合動詞後項として用いられる語は、古典語でもテ形より複合動詞後項の方が優勢
雑記
- 一週間ほど前の話、年末の家焼肉の残りを冷凍していたものを適当に解凍して適当に焼いて米に乗せて食べたら、全然おいしくなくて残してしまった