青木博史(2004.9)ミ語法の構文的性格:古典語における例外的形式
青木博史(2004.9)「ミ語法の構文的性格:古典語における例外的形式」『日本語文法』4-2
要点
- ミ語法のヲを、対象語を示すヲとして捉える
前提
- ミ語法に残る問題
- ヲを対格、ミを他動詞性のものとしてよいか
- 属性形容詞―主語(命を惜しみ)、感情形容詞―対象語(風とはやみ)という異なる性格のものが同じヲ―ミで表されることの説明
ミ語法の構造と史的位置
- ~ミの基本的性格をひとまず、従属節において原因理由を表すものと捉えておく
- 「対格」の観点からすると例外的なヲは現代語のガにあたるが、時枝の対象語に近い
- 妹をにくくあらば/命をし全くしあらば/命をしま幸くもがも
- ミ語法のヲも、形容詞述語~ミの対象語として提示されたものではないか
- このとき、以下のモデルが得られる
- ほととぎす 花を よみ 鳴く
- A(ハ)[Bヲ Cミ]D
- 主節の主語AがBに対してCという評価・判断を下したために述語Dのようにする(なる)
- このように考えれば、竹内(2004)の述べるように動詞性を認める必要はなく、感情形容詞構文として捉えられる
- 属性形容詞の方が例外的であるように見えて、非属性形容詞のものよりも圧倒的に多い。これはミ語法の「作者の視点を置く形で主語に据える」という表現性によるもの
- 属性形容詞で構成される場合、名詞句Bヲは必須の項となるので、ミは対象語を項として要求する形式である
- Bヲが現れる場合Cミは常に隣接するので、BヲCミはもはやイディオム化しているものと見るべき
- 上代において、対象語がガで標示されることもあり(妹が愛しさ)、連体用法のみならず条件句内部でも用いられるが、対象としての意味合いが強いためにヲが用いられたのではないか
- 史的位置として、これは上代の文法ではなく、既に語法的なものであったものと見る
- 上代における条件法の一種で、中古に衰退、といった変遷は受け入れがたい
- ヲは対格として広がっていき、一方のガは中古には連用用法(~が悲しく侍るなり)への発達を遂げるので、対象語をヲで標示する文法形式はそぐわないことになる
雑記
- スパドンコン、ゲームとしては2が断然好きだけど、もしかして音楽は3のほうが好きなのか?