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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

岡﨑友子(2011.11)指示詞系接続語の歴史的変化:中古の「カクテ・サテ」を中心に

岡﨑友子(2011.11)「指示詞系接続語の歴史的変化:中古の「カクテ・サテ」を中心に」青木博史編『日本語文法の歴史と変化』くろしお出版

要点

  • 指示詞接続語カクテ・サテについて、カクテが衰退し、サテが指示詞の機能を失って接続語・感動詞として展開していくことを示す

前提

  • 指示詞としての機能からカクテ・サテの分析を行い、その変化について記述したい
  • カク・サについて確認しておくと、
    • カクは直示・照応、サは照応・観念・曖昧指示の機能を持つ
      • サの直示用法は中世末に確立
    • 中世~近世にカク・サ系列からコ・ソ系列へ
  • 現代語のサテは指示詞としては働かず、カクテはそもそも活発ではない

カクテ・サテの変化

  • カクテ・サテを以下の5類に分類。B-Dが接続語、Aは副詞的、Eは感動詞的なもの
    • A 指示詞。先行文脈を指示対象とし、後続文脈に係る
    • B 指示詞。先行文脈を指示対象とし、先行文脈の事態によって後続文脈が起こることを示す
    • C 指示詞の機能が形式化して、添加、転換を示す
    • D Cとほぼ同じで、先行文脈が言語的でないもの
    • E 感動詞
  • 全体的に、「カクテは衰退し、サテは接続語として展開」という歴史が描ける
    • 中古において、カクテ・サテは指示副詞のカク・サと性質が近いが、サテの方が接続語として展開し始めている
    • 中世において、カクテはCのうち転換として働く例が見られなくなる、中世後期には激減するなど全体的に衰退、サテはAが衰退してC・D・Eが優勢になる(接続語へ)
    • 近世になると、サテのA・B(指示詞として機能するもの)が見られなくなる
  • 変化要因は、先行文脈を後続文脈につなげる接続語の性質は、指示詞においては照応用法が持つもので、それはサ・ソ系列の主な機能であるためか
    • ただし、カク・コ系列にも照応の働きはある

雑記

  • 全然自分のことする時間ないじゃん、バカ