ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

李淑姫(2000.8)キリシタン資料における原因・理由を表す接続形式:ホドニ・ニヨッテ・トコロデを中心に

李淑姫(2000.8)「キリシタン資料における原因・理由を表す接続形式:ホドニ・ニヨッテ・トコロデを中心に」『筑波日本語研究』5

要点

  • 虎明本ではC類だったトコロデ・アイダが、キリシタン資料ではB類だった

前提

  • 虎明本を分析した李(1998)では、
    • ニヨッテ・ニヨリ・ユエニはB類
    • ホドニ・トコロデ・アイダはC類

キリシタン資料の因由形式

  • ホドニはウを包含するのでC類
    • 御出あらうずるほどに、(天草平家)
  • ニヨッテはウを包含しないのでB類
    • 失はれたによって、(天草平家)
    • ただし、平家・伊曾保では後件に推量・意志、命令・依頼が来ないが、懺悔録は来るので、用法が拡大していったと考えられる
      • 七・八年のことでござるによって御推量めされよ(懺悔録)
  • トコロデもB類だが、これも平家・伊曾保から懺悔録で用法が拡張している
  • ユエニ・サカイニ・アイダはB類

f:id:ronbun_yomu:20190704000820p:plain
p.99

因由形式の包含関係

  • 包含関係を見ると、
    • [[ニヨッテ]ホドニ]
    • [[ニヨッテ]トコロデ]があり、[[トコロデ]ニヨッテ]もある
    • [[ニヨッテ]サカイニ]が1例のみ

虎明本との比較

  • 特に虎明本と差があるのはトコロデ

雑記

  • こだわり凛麦classic うまくない