ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

泉基博(1995.11)『十訓抄』における「つ」と「ぬ」:史的変遷を中心にして

泉基博(1995.11)「『十訓抄』における「つ」と「ぬ」:史的変遷を中心にして」『宮地裕・敦子先生古稀記念論集 日本語の研究』明治書院

要点

  • 「つ」「ぬ」の転換期である中世前期の様相を『十訓抄』を元に考える

使用量と活用

  • 源氏から十訓抄にかけて、ヌは勢力を拡大するが、平家にかけては相対的に減少する傾向を見せる
  • 十訓抄と平家のヌの活用を比較すると、十訓抄では未然>終止、平家では終止>未然で、様相が異なる

上接語

  • ツ専用動詞の異なり語数:ヌ専用動詞の異なり語数=38:91で、ヌの勢力の強さを示す
  • ツ・ヌ両用の動詞を調査し、前後の時代と比較した結果(まとめ)
    • 上代から中古にかけて「ぬ」の勢力が拡大した語:「あり」「寝ぬ」「聞く」「泣く」「なす」
    • 上代から中古にかけて「つ」の勢力が拡大した語:「来」「為」「渡る」
    • 中古から中世にかけて「ぬ」の勢力が拡大した語:「来」「なす」

雑記

  • 読んでないわけじゃなくて、まとめる気力がない~な