原口裕(1985.5)「可能表現「スルコトガデキル」の定着」『国語と国文学』62(5)
要点
- コトガデキルの発達は文章語で先行し、化政期以降に日常語化する
スルコトガデキルの日常語化
- 徂徠派の漢文の俗語訳解に源流が求められそうである
- 人ニカツヿガデキヌト云ヿハアルマイ(詩経助字法[1783])
- 次第に、「口語の可能動詞デキルが、漢文訓読の世界で違和感なく利用され」るようになる
- 海保青陵の著述(稽古談[1813]など)、三川雑記にも使用が多く見られ、これは明治語へと引き継がれる
- 口語資料においては、明和~安永以降に口頭語へと進出し、
- 音節数が多かったために庶民間での日常語化が遅れたと考えられ、
- 使用層からしても、女郎に多いことなどから、丁寧な表現から普及が始まったものと考えられる
- 三馬の作品や享和洒落本の時期には使用が多く、この頃、口頭語で伸長したものと見られる
雑記
- 一ヶ月継続、ならず(移動があると逆に無理)