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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

山口堯二(2001.10)「やうなり>やうだ」の通時的変化

山口堯二(2001.10)「「やうなり>やうだ」の通時的変化」『京都語文』8

前提

  • やるなり>やるなる>やうな>やうぢや>やうだ の変化の見通しを示したい
  • 以下の用法に分類できる
    • 類縁性(様相の類似するもの同士を関係付ける)
      • 例示
      • 一致(この前のようにやる)
      • 比況
    • 単独性(様相を単独に表示する、推定など)
  • 特に単独性の用法を中心に差がある

例示・一致・比況

  • 例示・一致には大きな変化はない
    • なお、例示・一致は連用・連体に偏るが、これは後続成分の修飾法に立ってこそ、例示・一致の意味関係が目立つため
  • 比況の場合、やや時代差がある
    • 古代語にある「などのように」を、さらに不定的に表示する「かなんぞのように」の例が増える
      • 併せて、「水でも飲むように」「死んでいるのようだった」のような不定的な言い方も増える
    • この不定化の方向と逆に、類似度を強調する副詞「ただ」「ひとへに」なども目立つ
    • ヨウダが推定の意を強めたので、比況らしくする語が求められたのであろう

単独的なヨウダ

  • 古代語のヤウナリは上接成分の様相を指定するだけの連語であったが、近現代語では助動詞化が進む
    • 助動詞体系としては、ベシの衰退、ソウダの形成(初期はむしろヨウダよりも推定中心)と関わるはずである
  • 連用法のヨウニには大きな差がないが、古代語ではむしろベシがそれを担っていた
    • 目的を表すヨウニVはベクVの後継
  • 連体法は、近現代にヨウナ「気」などの感覚的な名詞、ヨウナコトなどの形式名詞が増える
    • 推量の連体法の衰退を補う形で、
    • 「近現代語の「やうだ(ようだ)」が不透明な様相を試写・概言し、推定するようになる傾向に通じる」もの
  • ヨウダが述部に立つ場合、推定の助動詞は下接しなくなる(cf. やうならん/やうなるべし)
  • 一方で、中止法や逆接は見られる(~のようで、ようだけれども)が、これも、推定とは異なる内実を対比する表現であり、「確信の持てないままおおよそを推定する」という意味の強まりを感じさせる

雑記

  • がんばろう7