Heiko Narrog, 2017. Relationship of form and function in grammaticalization. In Kees Hengeveld, Heiko Narrog, Hella Olbertz (eds.), The Grammaticalization of Tense, Aspect, Modality and Evidentiality: A Functional Perspective, 74-110.
要点
- 文法化における、形式と機能の関係について考え、
- 形式と機能の発達の間の相関性が、個々のマーカーや構文の歴史においてのみ成り立つ(注、すなわち、全体的な相関があるわけではない)ことを主張する
- あるマーカーに形式的、もしくは機能的な(前進的な)変化がある場合、もう一方の変化においても、前進するか、もしくはしないか(注、要するに、後退することはない)という(ゆるい)相関がある
- 語彙項目は、変化の出発点に(文法化のスケールの高低の)差異があるので、形式面での文法化を、その形式の特徴に基づいて推測したり比較したりすることはできない
- そういった推測や比較は、特定の言語の特定のマーカーにおいてすら、不可能である
- 併せて主張したいこととして、機能変化は本質的で、形式の変化は付帯的である
- これは、形式面の脱文法化がより起こりやすいということと対応する
- なお、speech act orientation が最も重要な機能変化であり、これは、文法カテゴリの階層を「登る」ものとして理解される
- 階層を(Tab.5)、
- 登る(ベシの例、Tab.6)
- 形式と機能の変化の動機は別個のものであるが、しばしばオーバーラップするために、これらは負の相関性を持たない(と想定することができる)
雑記
- この論文集、Kindleで2500円で買えるのでオススメです
- あと、緑色の雑誌の Narrog 2009 の書評は、ほんまにおもんない