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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

久保田篤(2002.11)江戸語における動詞連用形のー用法について

久保田篤(2002.11)「江戸語における動詞連用形のー用法について」『国語と国文学』79(11)

要点

  • 江戸語における、現代には見られない連用形の用法「連用形名詞節」について考える
    • 供を帰しがよかろを(遊子方言)/いっしょにとまりはどふだ(膝栗毛)
  • 例はそれほど多くなく、
    • ハ(・ガ)を伴って主題となりやすい
    • 述部が「よかろう」、「どうだ」になりやすい
  • 特徴として、
    • 男性のみ(ただし例は少ない)
    • 丁寧な場面が少ない
    • モノを名詞化することはなく、コトに限られる
  • 述部が「どうだ」の場合、
    • モノの場合は「のはどうだ」の例があるが(ゐさつしやるのはどうでござります)
    • コトの場合は連用形名詞節がほとんど
    • この「どうだ」は、勧めや同調に限られる
  • 連用形名詞節が使われるのは、「ちょっとしたその場の思い付き」が多い
    • 連用形の意味と関わると思われるが、よく分からない
    • が、現代よりも連用形の用法が広かったのは確か
  • 「どうだ」の勧めはこの後、「てはどうだ」「たらどうだ」「というのはどうだ」等へ展開していく

雑記

  • やっていき