ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

福嶋秩子(2017.5)準体助詞の分布と変化

福嶋秩子(2017.5)「準体助詞の分布と変化」大西拓一郎編『空間と時間の中の方言:ことばの変化は方言地図にどう現れるか』朝倉書店

要点

  • FPJDとGAJの準体助詞の分布と変化を概観し、新潟方言のイガンダベ(行くのだろう)について考える
  • GAJとFPJDの準体助詞を比較する
    • FPJDの代名詞的用法(あそこにいるのは)は、
      • 新潟・富山・石川・高知にガ
      • 新潟にガン・アン, -an
      • 東北南部にナ、九州にト、福島にガナ(ガ+ナ)、山口にソ・ホ
    • GAJと異なるのは、
      • GAJでは関東にもナがある
      • 新潟のガンの変種の分布が違う
      • シの分布が広がる
    • 本土方言では、ナ・トが古く、ガ・ノの順に広がったのであろう
    • FPJDの機能語形成(行くのだろう)は、
      • 新潟・富山・石川・高知にガと変種
        • 石川・富山にガイ・ゲ(<ガヤ?)
      • 九州にト、山形・秋田にナ・ナン、山口にソ・ホ
    • GAJと異なるのは、
      • FPJDで九州のトが大分に広がり、
      • GAJでは愛媛にもガがある(縮小)
      • 新潟ではGAJでガン・ワン、FPJDでアン
      • など
  • ここで、新潟の準体助詞をまとめると(図)、

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p.82

  • 以下のような変化が起きたと推定できる

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p.83

雑記

  • いろんな学会が中止になっている