平塚雄亮(2019.7)「甑島里方言のbasi」『阪大社会言語学研究ノート』16
要点
- 九州方言でとりたて助詞的に使われる basi は、里方言では形式名詞的にも使われる
- tanpoo=ni=basi ita=to=jaroo / 田んぼにでも行ったんだろう
- sir-an basi=n goto / 知らないわけじゃない(のに)
- 形式名詞が先行し、助詞へと変化したのではないかと考える
- 形式名詞の環境は以下2つに限られる
- basi=n goto : 「かのように」の原義を離れ、「~するわけでもないのに」という批判的な態度として解釈される
- 言い切りの basi : 終助詞的に、上の批判的態度を表明する
- 助詞の場合の特徴、
- 前接要素は名詞のみ(格助詞・テ形前接などは不可)
- 意味的には例示を表し、中央語の禁止(バシ~ナ)は不可
- domo, doogu などとの比較は今後の課題
- basin goto > basi が文全体をとりたてるようになり、それがさらに語をとりたてるようになった、というプロセスを想定
雑記
- なんか読みふけってしまった