ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

大塚光信(1962.9)助動詞マイの成立について

大塚光信(1962.9)「助動詞マイの成立について」『国語学』50

要点

  • 口語法別記ではマイの成立に以下の過程を想定する
    • 甲:終止形マジがマイとなり、そのマイが連体形マジキの領域を侵した
    • 乙:終止形マジが連体形マジキの領域を侵し、終止・連体形両用となったマジがマイとなった
    • が、連体形マジは例の現れ方からすれば、むしろマイから逆に類推された新文語形であろう
  • ツベシイの湯澤説は、ツベシに、意味差に対応して新しくイ・ウがついて分化したものとするが、
    • 前提となるツベイとツベシイの意味差はないので、採れない
  • また、ツベシ→ツベシイ(ク活用→シク活用)、マジ→マイ(シク活用→ク活用)という逆の変化が同時に起こったとするのも不満である*1
  • よって、マイ・べシイはマジイ・ベイの相互的な影響により成立したと考えたい

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p.68

雑記

  • そういえば読んだことなかった

*1:「ここに、わたくしの第三の不満が生ずるのである」、よい