堀川智也(1998.3)希望喚体の文法
堀川智也(1998.3)「希望喚体の文法」『大阪外国語大学論集』18
要点
- 山田が挙げる希望喚体の例には、「N+終助詞」という条件を厳密には満たさないものがある
- 別れの無くもがな/長くもがな/鳥にもがも
- これが、希望喚体のプロトタイプからのどのような拡張であるのかを考える
- モガは、モノの希求と存在の希求に分けられ、
- モノの希求(小舟もがも)が最も典型的な希望喚体である
- 「現実には存在しない「もの」を心の中で思い浮かべ、その名前を「呼ぶ」という形で心に浮かんだままを一体的に表現する形式」
- ある状態での存在の希求が、拡張的である
- 形容詞もが(命も長くもがな)
- 副詞成分もが(常にもがな)
- 体言にもが(雲にもがも)も、「雲である」ことの希求
- 動詞てもが(並べてもがも)も、あくまでも存在(並べてある)の希求
- これはさらに、中古にコトの希求へと移行する
- 名詞ともが(人の心ともがな)は、AをBと「みなす」ことの希求
- ずもが(まかせずもがな)も否定の希求で、モノの希求とは決して言えない
- モノの希求(小舟もがも)が最も典型的な希望喚体である
- シカも喚体ではないものの、述体的な表現ではない点でモガと共通する
- その根拠として、シカに使われる動詞が限定されることを根拠とする
- 得・あり・なる・見る・聞く・行く
- 以上より、本稿は、モノの希求が希望喚体の基本であると考える
- 川端はモガも「あるコト」の希求であるとするが、コトの希求に見える場合も全てモノの希求に還元できるので、採れない
- (例えば、本質的にモノの希求に還元できないような、花を折りてもがも・花を折りてしか はない)
雑記
- 学生、めっちゃバイトするなあ