山本真吾(1994.5)「延慶本平家物語に於ける古代語の用法について:「侍り」「めり」「まほし」を軸として」水原一編『延慶本平家物語考証3』新典社
要点
- 延慶本における「新しい語法」が注目されがちだが、「古い語法がどうなっているか」の検討も併せて行われるべき
- その観点から「侍り」「めり」「まほし」を見ると、
- 衰退過程にあるはずの「侍り」は、覚一本3例に対して延慶本は125例と多く、しかも用法も様々である
- 「めり」もまた、鎌倉時代語文献では侍り・候ふ・なり+めりに限定されるのに対し、延慶本では種々の動詞に接続する
- 「まほし」も同様、依然勢力を有している
- 覚一本はほぼ連用修飾であるが、延慶本にはそれ以外も多い
- すなわち、延慶本は、「新勢・旧勢の両語を貪欲に吸収し本文の中に取込んでいる」
雑記
- 完全にインドア派になってしまった