ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

佐藤宣男(1974.10)平安、院政・鎌倉期における終助詞「なむ」:散文中の例を中心にして

佐藤宣男(1974.10)「平安、院政・鎌倉期における終助詞「なむ」:散文中の例を中心にして」『藤女子大学国文学雑誌』16

要点

  • 終助詞ナムは中世以降に古語化したとされるが、実態について触れられたことはない
  • まず平安期において見ると、
    • 和歌の例が多いが散文にもあり、
    • 散文では心内、会話、消息に現れ、口頭語的性格が強いと考えられる
    • 会話文で用いられる場合、ナムは聞き手ではなく第三者を対象とすることが多い
      • 成章は「ただそとあつらへたる心なり」とするが、聞き手への直接希求の例もある*1
  • 院政・鎌倉期には和歌の例も減り、散文は擬古物語に偏るようになる
    • なお、願望のナムらしき例もある
      • 宿させ給はなむや(宇治拾遺4-5)
      • よに又もむまれこざらなん(やへむぐら)

雑記

  • 目次を久しぶりに更新しました

hjl.hatenablog.com

*1:上代はない?