岡部嘉幸(2004.11)「近世江戸語におけるラシイについて」『近代語研究』12
要点
- 江戸語のラシイについて、以下の点を考える
- ラシイの「推定」の内実
- 助動詞ラシイと接尾辞ラシイの関係
- 米八は元気らしく(≒そうに)二階へ来る(梅暦)のような接尾辞ラシイと助動詞ラシイは共通する点があるのではないか?
- 江戸語におけるラシイは体言上接が通常で、活用語承接はまれ
- 用法分類を行うと、体言ラシイと活用語ラシイで中心的な用法が異なることが分かる
- 体言ラシイは推定よりも、様態(実情は分からないが、~のように見える)が中心:(連れは)おひとりはお江戸らしい
- 活用語ラシイは内実推定が中心:おぬしに余程気があるらしい
- 体言ラシイは連体法が多く、活用語ラシイには連体法がない
- 江戸語の接尾辞ラシイは以下の2種に分けられる
- 性質叙述型:チツトモ病人らしかアねへぜ
- 外見描写型:米八は元気らしく二階へ来る/真実らしくいひかけて、
- 体言承接の助動詞ラシイは、接尾辞ラシイの外見描写型と共通点を持つ
- 助動詞ラシイが接尾辞ラシイから発達したとする湯澤説を補強する
- その後の展開として、
- 活用語ラシイの一般化は、終止ソウダが伝聞専用形式になったことを一つの要因とし、
- 一方で接尾辞ラシイは、形容詞語幹ソウダ・ヨウダ・ミタイダ・ポイなどと競合して外見描写型の用法を失い、性質叙述型のみが残った
雑記
- 暇すぎる~!講義開始遅らせるな~!とか思ってたくせに、「前の予定より少し早めるかもしれません」って連絡きたらきたで、急に早めるな~!って駄々こねてます