宮内佐夜香(2003.4)「江戸後期から明治初期における接続助詞ニ・ノニの消長」『日本語研究(都立大)』23
要点
- ニ・ノニの仕様比率(消長)と、意味用法の変化について考える
- ノニの成立は準体助詞ノと関わる
- 明和以降洒落本において、ノは極めて少なく、天保以降にφ準体が減少する
- ニ(逆接のみ)とノニの様相を見ると、
- 三馬作品ではほぼ同程度、八笑人も拮抗
- 七偏人ではややノニが上回り、人情本ではノニが優勢に
- この差異は、ニが男性、ノニが女性中心の使用であることが要因
- 明治初期では、保守的な文体にニが現れやすい
- すなわち、江戸後期から明治初期にかけてニからノニへ移行すると言える
- ニの用法も定型的な表現(e.g. ~さえあるに)に限られていく
- ニはもともと単純接続であるが、時代を下るにつれて逆接の例が多くなるという指摘があり(此島1966)、調査もそれを支持する
- この傾向は、田中(1965)の「分析的傾向」のうちの「単純」の傾向に該当する
- 山口堯(1996)の「句的判断の対象化」もまた、ニ→ノニの変化に適用できそう
雑記
- 講義は遅らせてオリエンテーションを普通にやる弊学、控えめに言ってよく分からん