竹部歩美(2019.7)「『源氏物語』諸写本に見られる助動詞ムズ」『言語の研究』5
要点
- 源氏大成本文にムズは3例あるが、諸写本を見るともっとある。このことについて、特に以下のことに注目して考える
- 大成以外の調査
- ムズは会話文と心内文に現れるとされるが、他の箇所にも出てくることをどう考えるか
- 口頭語・俗語の問題
- 調査から、以下のことが分かる
- ムズは絵巻(平安末)には例がなく、鎌倉期以降の写本に異同として現れる
- 全ての写本がムズとする例はない
- 青表紙系よりも、河内本・別本系に出現量が多い
- ムズの異同は会話文以外にも見られる
- 異同はムトスや、ム・ベシのあるところに多く、
- 地の文以外、かつ、口頭語的性質の強いところに多く、
- 発話者の地位の低さ、未熟さ、卑俗的な要素が見出される場合に異同が見られる傾向がある
雑記
- こまったね