ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

森野宗明(1960.3)ベラナリということば:位相上の問題を主として

森野宗明(1960.3)「ベラナリということば:位相上の問題を主として」『国語学』40

要点

  • ベラナリには、散文韻文両用説、韻文の男性語説などがあるが、以下の説を主張したい
  • 1 平安初期としては訓点語としても用いられたが、口頭語とは(男性語の中であっても)認めがたい
    • 訓点語=男性語とは必ずしも認めがたいし、仮名文学にないことはむしろ口頭語でないことを示す
    • 今昔の会話文の例をもって男性の口語とする説もあるが、教化の例であるからそれも考えにくい
  • 2 主な使用領域は和歌で、
    • この点、雅語を志向する古今集に多用されるということを考えると、やはり口語的ではない
    • し、男性歌人に多いとするのも適切ではない(伊勢の例も多い)
  • 3 訓点語のベラナリが院政期までであったのに対し、和歌では後代まで使用される中で、だんだんと制限されていく
    • 奥義抄(の引く新撰髄脳)に、「かも、らし、べらなどふるきことつねによむまじ」とあり、平安中期には古代的色彩の強い言葉として認識されている
    • その後さらに、万葉集との関係を説くものも現れる
    • それ以前の古今・後撰集時代にはベラナリを伝統的用語とする根拠として、古今671が人麿歌であると流布していたことなどが、明白な根拠としてではないが、存する

雑記

  • 学生の学費減らせという意見は非常に分かるので、我々のお給金も上げていただきたい