松本朋子(2011.3)「「いかにも」の歴史的変遷」『日本語・日本文化』37
要点
- 標記の問題について考える
- 古くは「否定」「任意」の2用法で用いられ、この段階では不定語としての性格を色濃く持つ
- 時代が下ると、「AはBとしか結びつかない」という「専一」の用法が「任意」から生じる
- いかにもそこに知らるべき人にこそありけれ(浜中)
- その要素のどれを選択しても結論は変わらない(任意)→「結論は変わらないので選択にはほとんど意味がない」→専一
- その後、「専一」の意味を元に、中世末期には程度副詞化し、「典型的な状態に合致する」という「典型一致」の用法や、応答詞としての用法も獲得する
- いかにも(=本当に)華やかにもてなされた(天草版平家)*1
- いかにも静かに柔軟なふりで(エソポ)
- この用法が近代以降増加し、現代へと繋がっていく
- 室町期、イカニモは程度副詞としての使用が多く、否定・任意ではほぼ用いられないが、これはナントモが入り込んできたことによるか
雑記
- 「コロナとうまく付き合っていく」段階いつ来るんじゃ
*1:ローマ字が hanayacani になっている