江口正弘(1990.12)「天草版平家物語の動詞について:連体形の終止形化を中心に」『国文研究(熊本女子大学)』36
要点
- 標記の問題について、終止形と連体形の用法を以下のように分類する
- 終止形:A1 終止法 A2 ベシなどの助動詞に前接 A3 助詞トモ・ナ・ヤに前接
- 連体形:B1 連体修飾 B2 準体 B3 係り結び B4 疑問の結び B5 連体形終止
- ラ変・カ変・サ変において、
- 旧終止形は、A2 A3の場合のみで、A1には用いられない
- A1では新終止形が用いられる
- 下二段活用において、
- 旧終止形は A2 マジイに前接する場合などのみで、A1 終止法の例はない
- 新終止形は A1 終止法に前接する場合に多く、A2 ラン A3トモ・ナに前接する場合もある
- 二段活用の一段化は、「経る」の例があるのみ
- まとめ、天草平家では、
- 終止形・連体形の合一は、終止法において完了し、
- 助動詞・助詞を下接する場合にはある程度旧終止形が残る
- すなわち、合一は終止法が先行し、それが助詞・助動詞へと向かったことが確認できる
雑記
- 正月帰っておけばよかったなあ