笹井香(2006.1)「現代語の感動文の構造:「なんと」型感動文の構造をめぐって」『日本語の研究』2(1)
要点
- これまでの感動文の研究の中心はいわゆる感動喚体句(「きれいな花!」以下A型)であり、「なんと~だろう」型(以下B型)は周辺的位置づけであった
- 感動表現ではあるが、疑問文の周辺に位置づけられる、など
- A型の構造が句的体言であると理解(川端1965)した上で、A型の類型を5つに分ける
- 逆述語:美しい花!
- ~こと:かわいらしいこと!
- ~の~さ:彼のこの大胆さ!
- 形容詞・形容動詞語幹:おいし…/きれい…
- 形容動詞連体形:失敬な!
- これらはどれも、「程度の甚だしさ」に対する話し手の感動であり、かつ、対象現前性を必ず有する
- B型の「なんと」は、不定語としての機能を果たさず、かつ、A型と同様、体言骨子の形式を持つ
- 「なんと」は程度の甚だしさに対する情意を表現し、
- 体言を要求するので程度副詞でもない(*なんと美しいだろう)
- A型と対応付けられる分類が可能で、これはすなわち、B型も、感動文としてA型に並ぶものであることを示す
- 何と端正な顔だろう/なんて腹立たしいことでしょう/なんて暑さだ*1/なんてドラマチック/なんてむなしい…
- また、共起する「だろう」も、意味が変質している(判断辞ではない)
雑記
- 前期全部オンライン、精神が持たん
*1:「ノはAのように必須でない」旨書かれているが、むしろ、ノがあるとすわりが悪いと思う(なんという暗さだ/?なんという部屋の暗さだ)