富岡宏太(2014.10)「中古和文における体言下接の終助詞カナ・ヤ」『日本語の研究』10(4)
要点
- カナ・ヤの共通点と相違点を考える
- 既知のこととして、両者は構文的に連体修飾を必須とするが、カナは「連体形Nカナ」、ヤは「形容詞・形容動詞語幹ノNヤ」となるという違いがある(近藤1995, 1997)
- 話し手と聞き手・対象事態との関係から考える
- 話し手と聞き手との関係:
- ヤはカナに比して、聞き手なしの例が多い
- カナは上位・下位にかかわらず使用されるが、ヤは下位者から上位者への使用の例がない
- 話し手と対象事態との関係:
- カナは未来・現在・過去の例があり、ヤはほとんどが現在の例で、過去の例も近過去の例しかない
- カナは時間軸上の特定が不可能な例がいくらかあるが、ヤにはそういった例がない(現場性が強い)
- 話し手と聞き手との関係:
- この表現性と構文との関係を考えると、
- すなわち、
- カナは聞き手への待遇や時間などを考慮して事態を捉えるという話し手の発話態度を示し(「論理的な評価の表明を行う」)
- ヤは直感的な話し手の評価を表明する
- このことは、形容詞・形容動詞の場合にカナが~モアルカナ、ヤが語幹ヤとなることや、両者が一連の文脈で使用される例を見るとよく分かる
雑記
- リアルなカナブンのイラスト、やだ~