ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

野村剛史(1993.12)古代から中世の「の」と「が」

野村剛史(1993.12)「古代から中世の「の」と「が」」『日本語学』12(10)

要点

  • 上代のノ・ガの文法的性格まとめ(野村1993)、
    • ノは以下の5つの用法、ガは①④のみを持ち(野村1993)、
      • ①主格 ②比喩 ③同格 ④所有格 ⑤その他
    • 主格ノ・ガは従属句の中に、「~は~か~の~連体形」という語順でしか生起しない
    • ガは実体性に強く呼応する特殊な助詞である一方、ノは一般的な連体修飾を行い、実体性にも属性性にもよく対応する
  • 中古になると、ノは連体用法へ、ガは主格へと移行していく
  • この理由として連体形終止の一般化や格の明瞭化の要求といった理由が挙げられるが、「~ノ~連体形ガ」が主格ガの具体的契機として重たいのではないか
    • 石垣(1955)による連体形ガの発達は、
      • 上代では特殊な喚体句:舟人を見るがともしさ
      • 中古に至って「連体形ガ~用言」:~と思ふが悲しく侍るなり(情意形容詞の対象を示す点で上代に連続する)
      • 連体形ガが用言に係ることが可能となり、主格ガとして機能する:女の~と覚えたるが~忍びて~
    • ここで、「連体形ガ」の用法上の制限「~ノ~連体形ガ」が量的に少ないことに注目する
    • 「~ノ~連体形」が主格に立つ場合、無助詞が一般的であって、「無印の用言の連続を避けようとする要求」により、ガが立つようになったと考える
      • このことは宇治拾遺の「~ノ~ガ」の例の多さ(いと貧しかりけるが、~)によっても裏付けられる

要点

  • 商店街のチチカカ的な店、箱マスク誰も買ってなくてかわいそう