ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

高山善行(1992.4)中古語モダリティの階層構造:助動詞の意味組織をめざして

高山善行(1992.4)「中古語モダリティの階層構造:助動詞の意味組織をめざして」『語文』58

要点

  • 以下の3つのテストから、モダリティ(+テ・ア)の助動詞と文構造の関係を考える
    • 助動詞の下接
    • 従属中の生起
    • 係助詞との関係
  • 結果は以下の通り
    • ツ・ヌ・ベシ(とマジ)は一般的理解に反して同じ結果を示す
    • ケリ・メリ・終止ナリも同じ結果を示す。ヤ・カと共起するとどれも反語になるのは「ケリをモダリティの議論に参加させる上で重要な事実」
    • ム・ラム・ケム・マシがほぼ一致する
    • ジは終助詞の結果とほぼ一致

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p.41

  • この表をもとに階層図を描くと、以下の通り
    • ベシ・マジは多層的
    • マジ・ジは意味を分担する
    • 係助詞のスコープが、ナム(M2)>ゾ・コソ・ヤ・カ(M3)>ハ・モ(F)の順で広いことが分かる

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雑記

  • あっという間に5月も終わろうとしている 最悪では