木部暢子(2020.3)「九州方言のゴトアルについて:COJADSのデータより」『坂口至教授退職記念日本語論集』創想社
要点
- 九州のゴトアルが様態と希望を表すことに対する2つの従来説
- 形態的特徴と意味の結びつきが排他的に決まる(ウゴトアル→希望/連体形+ゴトアル→様態)ので、ウゴトアルは主語が1人称・2人称に限られる
- 排他的関係にはない(ウゴトアルが様態を表すこともある)ので、主語の制限もない
- このことについて、COJADSを使って考える
- GAJ241(降りそうだ)にはウゴトアルが見られるので、排他的な体系はこれより後に出来上がったということになる
- 九州方言にウ・ダロウの分化がなく、意志・推量の意がそのまま引き継がれていることに注目すると、
- COJADS(1977-1985調査)のウゴトアルもこの2つの意味に対応していると考えることができる
- 自分がカエロゴタッギ(佐賀・帰りたければ)/X3サンナモーシノゴタッタケ(北九州・死にそうだったから)
- 九州方言もまた、それ以降にウ/ジャロ・ヤロが分化し、それが原因となってウゴトアルの様態用法が衰退し、「連体ゴトアル:様態/ウゴトアル:希望」という分布が出来上がった
雑記
- ドライアイやばい