青木博史(1997.3)「カス型動詞の派生」『国語学』188
要点
- カス型動詞(散らかす、冷やかす)について明らかになっていること
- カスが肥大化した接尾語であること
- スの動詞(タブル・タブラス・タブラカス)を持つ代入型が直接型に先行すること
- 「よくない」という言語主体の価値評価を持つこと
- これらの点をふまえて、派生現象の本質について明らかにする
- カス型動詞の性質、
- 他動性を持ち、派生元の動詞は有対自動詞が多い
- であるから、単に自他対応のある他動詞とは役割が異なる
- 意味的には「マイナス評価」とされるが、本質的には「動作主をより強く表出させた」表現なのではないか
- マイナスの解釈の不要な例も中古にある
- この「動作主の意図的な動作」を第三者が苦々しく思うことで、マイナス評価が生じる
- 史的変遷を見ると、
- 初期は、有対自動詞の中でも -u と -asu という自他対応にあるものが大部分を占める(ここからスタート)
- 中世以降、無対自動詞からの派生の例(あそばかす、はやらかす)も見られるようになる
- これは、対応のない他動詞の役割を担うと考えられる
雑記
- さらば~5月