ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

山田潔(2001)助動詞「うず」の表現性(4)助動詞「うず」の表現性

山田潔(2001)「助動詞「うず」の表現性」『玉塵抄の語法』清文堂出版 初出1991「助動詞「ウズ」の表現性」『国語国文』60(6)

要点

  • 百二十句本から天草版への以下のような口訳の例を問題意識として、ウズについて考える
    • 奉公ノ忠ヲイタサントスレバ → 奉公の忠をいたさうずるとすれば
    • 既ニ馬ニ打乗リ出テ玉ヒケルガ → すでに馬に乗って出うとせられた
    • すいさんのものにていたされまいらせさぶらひしを → 出されまらせうずるを
  • 前稿、ウは純粋な推量を表し、ウズは確かな推量を表す
  • (これまでに指摘してきたこと以外に)ウズは丁寧表現と密接な結びつきを持つ
    • ンゾ・ンズルゾ、ナンズにはウズが対応し、ウが現れず、さらに、ウゾも対応する
    • ウズとウゾの異なりは、配慮の場面でウズが用いられるということ
    • 意志表現においても、ウズの謙譲・丁寧語との結びつきが顕著に認められる
  • 以上まとめ、
    • ウズは確かな推量を表すが、断定的な物言いを和らげる特徴もある
    • 会話文の終止法でもウズが丁寧表現と結びつきが強く、
    • 意志表現でも下から上への表明にウズが用いられる
    • 以上より、ウズ終止法はウよりも改まった意味合いを持ち、冒頭の「いたさうずるとすれば」もこのことから説明できる*1

雑記

  • 「Zoomのセキュリティの問題」という言葉だけがひとり歩きしていて、おじさんたちの意思決定がトンチンカンなものになっている

*1:「純粋な終止法にウズが、ト・ナドの終止法にはウ・ウズルが用いられる」のも、これによる偏りか?