新沢典子(2003.3)古代和歌における呼びかけ表現の変化:希求の終助詞「ね」の表現形式化をめぐって
新沢典子(2003.3)「古代和歌における呼びかけ表現の変化:希求の終助詞「ね」の表現形式化をめぐって」田島毓堂・丹羽一彌(編)『日本語論究7』和泉書院
要点
- 標記の問題について考える
- 「歌謡段階で生きていた対詠的表現が歌の場の変化を反映して形式化してゆくあり様を古代和歌史の中で捉えようとする」
- ネは対象に直接呼びかけるタイプの希求である(新沢1999)ので、
- 多くは4句・5句に偏るが、「~ネ」で終わらず、「~ネ~ム」とする例もあり(我ににほはね妹に示さむ・1694)、これは人麻呂歌集以前には見られない
- これは「聞き手に対する直接の呼びかけとしてではなく、和歌の表現として形式的に用いられた例」
- 旋頭歌において~ネ~ムの形式化は促進され、
- 万葉後期ではネが衰退する
- 第4期に例が増えるが、家持の例に偏り、形骸化したネを意図的に用いた可能性が髙い*1
- ネの表現形式化が、対面ではなく個別の場への変化を反映するものであると考えたとき、「~命令形~ム」の増加をこれに沿う変化として挙げることができる
- 千重に降りしけ~見つつ偲はむ(2334)
- まとめ、
雑記
- 洗濯指数に頼らないと行きていけない人間なのかもしれない