ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

鶴橋俊宏(2013.1)咄本の推量表現

鶴橋俊宏(2013.1)「咄本の推量表現」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出1993『静岡県立大学短期大学部研究紀要』6

要点

  • 遊里を中心とする洒落本の特殊性を補うために咄本の調査を行う
  • 以下の傾向は洒落本と同様
    • 天明頃からダロウ>ウになること
    • ダロウに文終止の例が多く、接続助詞下接の例はウに多いこと
    • ウにカとの共起が多いこと(ダロウカの例が少ないこと)
  • 以下の傾向は洒落本と異なる
    • ダロウは洒落本では確認要求に偏るが、咄本ではその傾向は認められない
  • 咄本を扱う際の問題2点、
    • 地の文と会話文の区別が曖昧(小田切良知「間接話法と直接話法の混乱」)
    • 同じ小咄が多く、それぞれをそのまま当該時期の例として扱うのが躊躇われる
      • 一方、時代差を反映する例もある
        • 煤払には出よふ(千里の翅[1773])/煤払には出るだらう(しんさくおとしばなし[1844])*1

雑記

  • 自分の論文が長くならない理由、それほど用例を引用しないのに自分の言葉で文章を書かないからかな!?ってなった、ナゾ解明~

*1:用例に西暦か和暦を入れてほしいなあ