近藤泰弘(1995)中古語の副助詞の階層性について:現代語と比較して
近藤泰弘(1995)「中古語の副助詞の階層性について:現代語と比較して」益岡隆志ほか編『日本語の主題と取り立て』くろしお出版
要点
- 中古語の副助詞の体系全体の特徴を、語順を中心に記述する
- ダニ・スラ・サヘ・ノミ・バカリ・マデ・ナド(・ヅツ)
- 格助詞との承接は4タイプ
- 格助詞+副助詞専用:ノミ・ダニ・サヘ
- 格助詞+副助詞/副助詞+格助詞の両方:ナド
- 副助詞+格助詞専用:マデ・バカリ
- 承接しない:ヅツ(そもそもの語性が他のものと大きく異なる)
- 形容詞連用形との承接がある
- ノミ(つれなくのみもてなしたり)・ダニ・サヘ・ナド
- 現代語ではハ・モ・シカに限られ、かつ述部も限定的なのに対し、古代語は「かなり多くの副助詞について自由な形容詞連用形接続が見られる」し、しかもこれは全て格助詞に後接するタイプ
- 副助詞の相互承接も、格助詞とのパターンとかなり対応する
- ノミ・ダニ・サヘは格助詞にも副助詞にも後接しかしない(バカリダニ・マデダニ・ナドダニ)
- マデ・バカリは格助詞にも副助詞にも前接する(バカリダニ・マデダニ)
- ナドは例外的にどちらもする(助詞トの接続に基づく)
- 特殊なものとして、
- 格助詞トだけは副助詞に前接する(トバカリ・トノミ/*バカリト)
- マデは連体形を承けることがあり、バカリは連体形・終止形の2種類を承ける
- 以上まとめ、副助詞は大きく以下の2グループに分かれる
- バカリ・マデ:格助詞に必ず前接、形容詞連用形に後接せず、副助詞に前接
- ノミ・ダニ・サヘ:格助詞に必ず後接、形容詞連用形に後接し、副助詞に後接
- 名詞句とりたては前に、文とりたては後にというような階層性が、古代語(バカリ>ノミ)にも現代語(サエ>モ)にもある
要点
- 新学期とともに復活したい