舩木礼子(1999)「意志・推量形式「べー」の対照:用法変化の推論」『待兼山論叢 日本学篇』33
要点
- ①福島県喜多方、②宮城県鳴瀬、③秋田県大館、④秋田県五城目、⑤静岡県沼津、⑥兵庫県稲美の6地点のベーを対照する
- 接続において、
- ①②③④はほぼ一段・カ変・サ変・四段にわたって終止形接続で統一される一方、⑤は単純化の傾向が認められない(コベー・クルベー、シベー・スルベー)
- ⑥は著しく異なり、終止形接続のものと、ウ・ヨウに接続するものがあって、終止形接続のものは文末終止しない(行クベシだった/*行くベシ。)
- 用法において、推量・確認要求、意志・申し出・勧誘・やわらげた命令(○○ちゃん、もう寝ンベナー)を立てると、
- ①は最も広く全てにわたり、②はやわらげた命令を持たない
- ⑤は意志のみ(意志・申し出・勧誘)、⑥は文末終止しないベシがツモリ相当で用いられる(行クベシだったけど)
- ⑥の非文末のベシは、「事態が未実現で、一人称がその事態を実現する意志を持つことを聞き手に示す」意味を担う
- 終助詞的用法において、
- ⑥にはウ・ヨウに接続する任意的なベーがあり、意志でも基本形には後接せず、独り言のみで用いられる
- 「行こうっと」同様、「表明した話し手の意志に変更の可能性がないことを示す形式」
- ①でも情報提示(すなわち推量系でない)のベーがある
- ⑥にはウ・ヨウに接続する任意的なベーがあり、意志でも基本形には後接せず、独り言のみで用いられる
- 変化傾向をまとめると、
- 形式分化について、推量・意志の両方担う①②③、どちらかを担う④⑤⑥
- 意志推量以外への変化について、ベーが広く使われながらそれ以外へ展開する①、意志推量の用法は他に譲り、ベーが他の機能を持つ⑥
雑記
- みんなもうコロナのこと忘れちゃったのかな