小松光三(1992.11)「体言に連なる助動詞「む」の表現:『枕草子』の場合」『国語と国文学』69(11)
要点
- 連体ムの「仮定・婉曲」の説明に問題があるので、統一的説明を目指して、(中古和文の代表としての)枕草子の連体ムについて考える
- 以下の5つの傾向がある
- 1 連体ムは、会話文において、文頭(の名詞の修飾)に使われやすい
- 若からむ人は、~。
- 2 文末は命令やベシ系助動詞で結ばれやすい
- おのれをおぼさむ人は、歌などよみて得さすまじき。
- 3 コソ(確実な既知の情報を提示する)が用いられやすく、ゾの例は多くない(ので、やはり「婉曲」とは言い難い)
- 4 形式名詞やそれに準ずる名詞を修飾しやすく、
- 5 人間を表す名詞が半分を占める
- 1 連体ムは、会話文において、文頭(の名詞の修飾)に使われやすい
- こうした連体ムは「事物や事象を、話し手の心のなかに『事実の映像』で描き出して表現し、さらに、それを後続の体現に結合していく」ものと考えられる*1
雑記
- ムムム
*1:この後1-5と結びつけるが、色々と理解の難しい箇所があるので省略