木下書子(1993.12)「けん」から「つらう」へ:「る」「らる」を承ける場合を中心に
木下書子(1993.12)「「けん」から「つらう」へ:「る」「らる」を承ける場合を中心に」『国語国文学研究』29
要点
- ケンからツラウへの交替について、特に上接語の制限を中心に考えたい
- 当初のツランはケンの領域を侵さないのだが、
- これはツの上接語の制限によるのではないか
- ツ・ヌの上接語を見ていくと、
- 中古には、ツはユ・(ラ)ル以外の種々の助動詞、ヌは専らユ・(ラ)ルを承けるのに対し、
- 中古末になると受身・自発・尊敬の(ラ)ルを承けるようになる
- ツラウは中古のツランを引き継いだというよりは、上接語の範囲を広げたツと、ラウが新たに結びついたものだと考えられる
- 天草平家に(ラ)レツラウとある例は、原拠本では(ラ)ルが用いられておらず、必ずしも原拠本に引かれているわけではなく
- また、(ラ)ルへの接続の制限はツランよりも単独のツにおいてよく緩んでいるため
雑記
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