ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

永田里美(2000.8)勧誘表現「~マイカ」の衰退:狂言台本を資料として

永田里美(2000.8)「勧誘表現「~マイカ」の衰退:狂言台本を資料として」『筑波日本語研究』5

要点

  • 虎明本には勧誘表現Vマイカがあるが、虎寛本ではVウデハアルマイカが該当し、Vマイカは見られない
    • そへ発句をせまひか > 此に添発句をせうでは有るまいか
  • このことを踏まえ、マイカの衰退とウの優勢化の関連について考える
    • マイの史的変遷を考えるだけでは不十分で、マイカの持つモダリティとしての機能を考えなければならない
  • イカには以下の2種があり、
    • 否定意志の有様を問いかけるタイプ
    • 否定疑問が働きかけとして機能するタイプ
      • 後者は、「意志+否定」と、「否定疑問による聞き手への働きかけ」が複合している
      • 一方で、ウ(・マイ)単独による勧誘は、自己の意思表明などの「表出性」が1,2人称に用いられることによるものと考える
  • この後、マイカよりもウデハナイカ・ウカが優勢になるが、これは「意志」と「聞き手への働きかけ」を分析化させたものであると見なすことができる
    • ウデハアルマイカ・ウデハナイカは、Vデハナイカの発達を背景として成立したもの

雑記

  • 首は回らなくなり、目も充血している
  • またしばらく休みます