ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

金沢裕之(1995.5)可能の副詞「ヨー」をめぐって

金沢裕之(1995.5)「可能の副詞「ヨー」をめぐって」『国語国文』64(5)

要点

  • 関西~中国・四国のヨーの歴史を明らかにしたい
  • 江戸後期以降の調査、
    • 戯作にヨーの例はなく(一荷堂半水作に偏るため?)、エは洒落本にのみ例あり
    • 能力可能、外的条件可能、心情可能のいずれの例もまんべんなく見られる
      • 能力可能は個人が習練する能力(舞を舞う、本を読む)が目につく
      • 外的条件可能の動詞はそれに比べて多様
  • 心情可能について詳しく検討、
    • 非難のヨーの例のうち、特に可能との共起例が注目される:よふあないいへるナア(すいのすじ書)
    • これは、自己の基準を越えるものとして驚きや非難を示したもので、それを自身に仮定すると「私なら~することは到底できない」という心情が浮かび上がる
      • あいつそんなこと{ヨー/ヨク}言うなあ/私はそんなこと{ヨー/*ヨク}言わん
    • すなわちヨーの心情可能は、基本的には話し手にとっての他者への否定的感情から発するもので、結果として話者の心情的な側面に由来する不可能さを示すことになる
  • なお、ヨー肯定の分布は狭く、発生も遅い

雑記

  • 体重めっちゃ増えてる