出雲朝子(1993.7)「『玉塵抄』の会話文:文末の形について」『小松英雄博士退官記念日本語学論集』三省堂.
- 標記の問題について、会話文を以下のように分類
- A 原漢文に該当する会話部があるもの
- 1 終結部が明示されている(「~」ト云)
- 2 明示されていない
- B 原漢文に該当する会話部がないもの
- A 原漢文に該当する会話部があるもの
- 会話文の終結部の文末を比較すると、A1・Bに違いがある(A2もA1に近い)
- A1>Bであるもの:助詞、ウズ
- A1<Bであるもの:形容詞、敬語命令形、ヂャ
- 例えば、Bに助詞が少ないのは、説明・注釈のための会話文であって疑問文がないなどの理由による
- ヨ・(ウより丁重な表現性を持つ)ウズがBにないのも同様の理由
- ヂャはAの方が少ないが、Bのヂャは~ヂャ~ヂャという並列の用法であるので例外的
- 2文以上からなる会話文においては終結部と非終結部の文末に違いがあり、非終結部は地の文と類似(ゾ・ナリ・アリが多い)する
- 概ね 終結部+ゾ=非終結部 という関係性であるが、例外がある
- 全体としては、「会話文の「談話語らしさ」は終結部の文末に表れるのであって、非終結部は基本的には地の文と同様な文体で書かれている」(全てがそうだというわけではないが)
雑記
- インプットがないと人は論文を書けない