池田來未(2021.3)複合動詞「~ヌク」の史的変遷
池田來未(2021.3)「複合動詞「~ヌク」の史的変遷」『国文』134.
要点
- 複合動詞Vヌクの完遂の用法(苦難を耐え抜く)の獲得について考える
- Vヌクの用法を姫野2018に倣って以下のように分類する
- 調査結果、
- 上代は全てが〈貫通〉(踏み抜く)
- 中古に〈抜出〉(針をひきぬき)
- 中世に〈選抜〉(若者共を呼抜て)、〈抜駆〉(いだしぬかれにけり)
- 近世に〈貫徹(=完遂)〉(操を立ぬく)、〈極度〉(川原でひゑぬいて)、近代も同様
- 以下の変遷過程を想定する
- Vヌクの前項動詞はその用法によってそれぞれ偏りがあり、用法派生とも関連性がある*1
- 例えば、〈貫通〉〈抜出〉〈選抜〉はいずれも工藤の主体動作動詞に偏る
- 〈抜駆〉は主体動作・客体変化動詞が多く、〈貫徹〉に「語る」「洗う」など、終結点を持たない主体動作動詞が現れることと連続する
雑記
- 大葉の天ぷらっておいしいし、バジルの天ぷらもおいしいんじゃないかな~
*1:こっちを先に説明してから変遷過程を示すほうが説得性の高い構成になりそう