ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

佐藤順彦(2011.3)後期上方語におけるノデアロウの発達

佐藤順彦(2011.3)「後期上方語におけるノデアロウの発達」『日本語文法』11(1).

要点

  • 江戸語のノダロウについては明らかな点が多いが、上方語についてはそうではない
  • 上方語における事情推量を表す形式の調査結果
    • 前期→後期にかけて、モノジャ>ノジャの交替
    • 前期→後期にかけて、モノデアロウもノデアロウに交替
    • デアロウは一貫して見られる(まだ変化の影響を被っていない)
    • 江戸語もほぼ同様か
  • モノジャ>ノジャについて、
    • モノジャは希薄ではあるが実質的意味を有しており、一方のノは実質的意味を持たないために「使い勝手がよかった」ことによるのではないか
  • ノデアロウについて、
    • 安永期には確立しており、
    • 江戸語では原因・理由焦点(~から~のだろう)が遅いという指摘がある(鶴橋2009)が、上方語では当てはまらない
  • デアロウはノデアロウと併存するが、これは、背後事情を問う場合のノカにノが任意的であることと並行する
    • 「事態の事情・意味を問題にする場合、現代語では専用の形式(ノダ・ノカ等)の使用が義務的であるのに対し、近世語ではそれが任意だった」(p.15)

雑記

  • 家ほし~