ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

湯澤幸吉郎3部作のややこしい書誌情報

ややこしいのでメモしておく。

室町時代言語の研究』

  • 昭和4(1929)室町時代の言語研究:抄物の語法 大岡山書店
    • 書名に誤りがあり、『室町時代言語の研究』が正しい
      • 湯沢(1929)を『室町時代の言語研究』として引いて、再版を『室町時代言語の研究』として示す立場と、最初から『室町時代言語の研究』とする立場が有り得る。
      • 「何をするだァーッ」問題に近いものがある。
    • 大岡山書店は1944年頃まで出版の形跡あり、その後廃業?
    • odamitsuo.hatenablog.com
  • 昭和30(1955)風間書房により再版復刊。
    • この後、1958, 1970, 1981版があるようである。
    • 湯澤(1929)として引き、風間書房版を引くならば、注記として「再版を参照」した旨書くのがよい。

徳川時代言語の研究

  • 昭和11(1936)徳川時代言語の研究:上方篇 刀江書院
    • 1944年頃、刀江出版廃業(創業者尾高豊作の逝去による?)
  • 昭和30(1955)風間書房により再版復刊。
    • この後、1962, 1970, 1982などの版があるようす。
    • 湯澤(1936)として引き、風間書房版を引くならば、注記として「再版を参照」した旨書くのがよい。

江戸言葉の研究

  • 昭和29(1954)江戸言葉の研究 明治書院
  • 昭和32(1957)増訂 江戸言葉の研究 明治書院
  • 昭和56(1981)増訂 江戸言葉の研究 明治書院 再版
    • よく参照される版。奥付には、昭和29年に「初版発行」、昭和56年「増訂2版発行」とあって分かりにくいが、「増訂初版」は1957版であるので、『増訂江戸言葉の研究』を引くときは湯澤(1954)ではなく、湯澤(1957)として引くほうがよいのかもしれない。
    • 少なくとも、単に湯澤(1981)とはしない方がよい。
    • この後、1991に増訂3版が出ている。